★★★★☆

人がいかに「カチッ・サー」と自動的に判断・行動しているかを社会心理学的に明らかにした本。実験内容・実例が豊富で興味深い。
ただ、人が理性的に判断するための対処法が、「カチッ・サー」が起こらないように気をつけるというものでしかないように思えたので、★をひとつマイナス。

”カチッ・サー”とは、固定的行動パターンのこと。つまり、ある場面に遭遇すると、人は一連の標準的な行動が現れます。
母親鳥が子鳥の「ピーピー」という泣き声を吹き込んだテープを聴くと、天敵のいたちの人形であっても餌を与えようとするような行動です。


人間では、そのようなカチッ・サーを引き起こす行動として、
1.返報性の原理
2.コミットメントと一貫性
3.社会的証明
4.好意
5.権威
6.希少性

があります。

1.返報性の原理


要は、give and takeの法則ですね。人は何かを他人からもらったら、「お返しをしないと」と思わずにはいられなくなります。

返報性の法則には2つの特徴があります。

①知らぬ間に恩義を感じてしまう。(望みもしない相手からであっても)
②不公平な交換をも引き起こす。
特に②がポイントです。

この返報性の法則を効果的用いる方法として、
「拒否させたあとに譲歩させる」というテクニックがあります。
このテクニックによって、承諾するも地獄、断るも地獄という状況に陥ってしまいます。

以前、新人経営コンサルタントさんが教えてくださった原理!

2.コミットメントと一貫性


機械的に一貫性にしがみつく理由としては、考えるという多大な精神的労力を必要としないからです。
(基本的に、「カチッ・サー」は考えることを回避するために起こります。)

最初のコミットメントが、あとでそれと一貫した行動を引き出すためには、「自分がそうしたかった、強制されたのではない」と見なされることが大切。

人はいったんコミットメントすると、それが正しいことを示す新しい理由や正当化を加える。

具体的には、よくある営業テクニックとして
「今日はご機嫌いかがですか」と問いかけ、決まり文句として好意的に「ええ、いいです」と応えさせたあとに、商品の購入を打診すると、購入率がアップするというものがあります。

おもしろかったのが、子供に人形を買ってやる約束を守らなければならない、という親の一貫性に対する苦悩の例(p110)


3.社会的証明


社会的証明とは、他人が何を正しいと考えているかに基づいて物事が正しいかを判断する、というもの。

社会的証明は
①状況が不確かで
②類似性があるとき(自分と似た他者のリードに従う傾向がある)
に最も強い影響力をもつ。


4.好意


好きな人に対してはYESといいがち、というお話(笑)


5.権威


人間、肩書きに弱い。
そして、きれいな服と装飾品に包まれている人は、なんとなく「すごい」気がする(笑)


6.希少性


「少ないものがベスト 失うことはワースト」

特に、すでに制限されているものよりも新たに制限されるようになったものの方に、また他人と競い合っているときに、より一層希少性の高いものにひきつけられる。


「何かを愛するには、それを失う可能性を実感すればよい」(G・K・チェスタトン)

深い(笑)
★★★☆☆

アニメのススメとして、前回記事でかいたように、
人間として共通の感情変化・行動規範が描かれているのがアニメだと思います。


商品をある程度ローカライズするにしろ、文化が違っていたら良さが理解しがたい、というものであれば、海外ではウケない。商品にしてもサービスにしても。(逆に言うと、人間として共通の感情変化・行動規範が盛り込まれているものは、世界ベースでもウケル可能性があります)


この映画が★3つな理由は、まさにこれが理由。

western culture・historyへの理解なしには、おもしろさがわからない。


この映画は、オーストラリア人の友達がおもしろいから、っていうので一緒にみました。
笑っているポイントが違いすぎる!


例えば、カウボーイとローマ皇帝のつかっている英語のアクセントや行動の違い。
カウボーイはアメリカ英語でおおざっぱ。
ローマ皇帝はイギリス英語で騎士道を重んじる。
この二人の漫才コンビも単純に日本語訳を読んでいたら、全くおもしろさがわからない。


ヒロインのアメリア・イアハートの行動も、アメリア・イアハートがどのような人生を歩んだ人なのかというアメリカ人ならだれでも知っているようなことを知らない日本人からしてみれば、そもそもアメリア・イアハートってだれ?
それがわかっていたら、ヒロインがなぜあのような発言をして、ああいう行動をとるのかも、すんなり理解できるのだと思う。


そういう意味で、戦隊モノは、実は世界ベースでウケルのではないかと、勝手に思っています(笑)

1975年:『秘密戦隊ゴレンジャー』
1983年:『科学戦隊ダイナマン』
1997年:『電磁戦隊メガレンジャー』
2011年:『海賊戦隊ゴーカイジャー』
と名前は変われども、「勧善懲悪」ストーリーは変わりません。
その点、海外のスーパーマンやスパイダーマンといった同様のヒーローものと変わらない。

かつ、レッド・ブルー・グリーン・イエロー・ピンクといったチーム戦など戦隊モノ独自のおもしろさもある。

誰か売り出して見てくれないかなー(笑)
★★★★★

地震によって自分の人生について考え直した方も多いとは思いますが、ますますそれに拍車をかけてくれた映画。

内容的なことよりも、今回は映画の邦題について。

原題は”Up in the air”。
つまり、「未決定で・漠然としていて」という意味です。

私は邦題の「マイレージ、マイライフ」を意識していたので、どのようなコメディーかと思ってみていたのに、あのエンディング。
腑に落ちない顔をしていたら、オーストラリア人の彼が、「up in the air」の意味について教えてくれました。


それを聞くと、なるほど!!!!
全てがつながったというかんじです。


正直、このタイトルは失敗。
監督は、主人公がマイレージを集めることを趣味にしていた奇人をテーマにしたかったわけではなく、その背後にある主人公の生き方「Up in the air」を描きたかったはず。


一度、みなさん、これを意識してみてみてください^^

まぁ邦題は置いておいても、素敵な映画です!