Artist: Dying Fetus
Album: Make Them Beg for Death
Year: 2023
Genre: Brutal Death Metal, Technical Death Metal
アメリカのテクニカル／ブルータルデスメタルバンドDying Fetusの9枚目のアルバム。長年スキンヘッドだったJohn Gallagherに髪が生まれています。前作「Wrong One to Fuck With」から6年ぶりとなるアルバムです。カバーアートにも表れてる通り昔と比べると政治的な要素は弱まっています。前作が自分の中で「Reign Supreme」に及ばなかったのはやはりプロダクションのせいで、今は慣れたけどリリース当初は随分と軽いサウンドだなと感じていました。低音の弱さが気になっていて、あとトータルで54分と長すぎて後半飽きてしまうのも欠点でした。今回の「Make Them Beg for Death」は全て改善されていて曲はコンパクトに、荒っぽいスピード感も生まれています。音もどちらかと言えば2012年の金字塔「Reign Supreme」に近いです。低音の迫力がありドラムの音も凄く良いです。テクニカルでグルーヴィーでキャッチーという彼らの個性は一貫しているし曲の構成は以前より凝っていて複雑です。ブルデスバンドとしては大ベテランだけどソングライティングに衰えが全く見られません。特に今回は緩急を自在に操っている印象で、Unbridled Furyの美しいブレイクダウンなど効果的なテンポチェンジが多く見られます。そして前作よりもダークな雰囲気があるのもブルータルな説得力に繋がっています。グルーヴと躍動感も増していてJohn Gallagherの髪の毛のように終始生き生きしているアルバムです。