Artist: TR/ST
Album: Performance
Year: 2024
Genre: Synthpop, Darkwave, Futurepop
Robert AlfonsによるカナダのダークウェーブプロジェクトTR/STの5枚目のアルバム。Choir BoyやDrab MajestyなどのDais Recordsに移籍してのリリースです。前作「The Destroyer - Part Two」は過去1ソフトな作風でダークウェーブと呼ぶことにも違和感がありました。EBMや実験的な要素はなくフューチャーポップやダークウェーブの要素も薄いアルバムだけど、代わりドリームポップやアンビエントポップに寄っていたのでそれはそれで魅力的でした。ただ「The Destroyer」は2作品とも30分程度なので単体で聴くと物足りなさを感じるのが致し方なかったです。今回の「Performance」も38分とコンパクトだけど30分と38分ではやはり体感が違います。まず好印象なのはDaisに移籍したことも影響してかゴスポップ、ダークウェーブの要素が復活しています。1曲目のSoonはChoir BoyのIt's Overを思い起こすオープニングに相応しいキャッチーなシンセポップ。Regretも2曲目にぴったりのフューチャーポップ。All at Onceはこれまでになく明るいシンセポップ/ニューウェーブで優しいボーカルが印象的です。The ShoreとBoys of LAは初期のようなゴシックなダークウェーブで、80年代のDepeche ModeやClan of XymoxやKilling Jokeが持っていたような閉塞的な闇に包まれています。Robert Alfonsの端正な顔立ちとどうしても結びつかない独特な歌声はこういう曲だとより妖しく輝きます。Dark DayとPerformanceは個人的お気に入り2トップで、後半にこのような名曲を配置していることもポイントが高いです。MVが作られたPerformanceは浮遊感のあるファルセットボイスの繊細さが新たな魅力です。前作も悪くないけどやはりTR/STにはこれくらいのダークさを求めてしまいますね。