相原コージ実験ギャグ短編集 | オーラルヴァンパイア レイブマン オフィシャルブログ「仮面生活入門」Powered by Ameba

相原コージ実験ギャグ短編集


相原コージ実験ギャグ短編集


某大手出版社にマンガを投稿して箸にも棒にもかからなかった程の腕前を持つレイブマンです。

マンガ好きと自負できるほどマンガ読んでないのですけどギャグマンガ好きだとは公言できます。

なんせ笑いの方法論のみならず社会構造、価値観、哲学、歴史、芸能、芸術、性の知識 などなど

全てギャグ漫画の作家先生達から学んだのですから。


そのカルチャーショック的な存在って世代によって

赤塚不二夫だったり、山上たつひこだったり、いがらしみきをだったり、うすた京介だったり

それぞれだと思うのですが僕の場合だと、吉田戦車…それから相原コージ!


だからこそ相原コージが同時期の作家にも関わらず

吉田戦車に比べて、一般的なフェイバリット対象にならないのかわかります。 



それは赤裸々すぎるからです!



実験性を全て言葉で説明するわ、実生活の恥部をいやらしく描くわ、

素顔も公表して全裸で恥ずかしいポーズとるわ...

こういった過剰なサービス精神は、一般的なアーティスト像には反するものです。


リスペクトする事で自分の評価もあがるような作家ではないって事ですね。


ともかく近年は報われない印象のある先生。

この本は最も迷走していたであろう時期の

連載 『なにがオモロイの?』を中心に収録した短編集です。


この連載は、笑いの観念が一周して、理解できなくなってしまった先生が

毎回、色々な実験ギャグ漫画を提唱して、読者アンケートをとるという企画でした。

結局、読者にブチギレて破綻する楽屋裏マンガも含んでいたのですが

その部分を抜いて今頃、短編集としてリリースしたのは、ちょっと不可解。


とはいえ他になく赤裸々ではあります。

最初に載ってる吾妻ひでおさながら、

漫画が書けず心の旅に出た時の自身のエピソードが、心苦しいくらいです。


正直、全編とおして自暴自棄な内容で

実験の面白味はあっても、笑いでいうと微妙なものが多く

『コージ苑』 『文化人類ギャグ』 『ムジナ』 『漫歌』 『かってにシロクマ』

『一齣漫画宣言』 『サルでも描けるまんが教室』 『神の見えざる金玉』などの

革新性を超えられず、寧ろ未だに新しさを保っている

それらの作品の凄さを再確認してしまう皮肉なものでした。


隠し事ない所や、いつまでも実験し続ける姿勢は改めて憧れるのですが

生理的な嫌悪感や、読者のスノビズムが邪魔をして、評価されない現実が、また心苦しいです。


ただし最終話「壊すべきものがなにもないから 壊すべきものを造る事から始めよう」は

目からウロコでしたよ。


中学生っぽい発想ではあるけど…いつまでもそうであってほしいです!