今回の大学時代の講義は、「都市地理学」です。

 
 
担当は片柳勉先生で、都市地理学がご専門の先生であり、私が大学2年よりストーカーの如く研究室に行き、この学年から選択可能になったゼミでも片柳ゼミを選択し、勝手に師匠と崇めている先生です。
 
 
この都市地理学の講義のねらいは、
 
「現代は都市の時代といわれる。日本の人口の7割以上が都市部に住んでいる。したがって、都市で起こるさまざまな問題は、好むと好まざるとにかかわらず私たちの生活に直接あるいは間接的にかかわっている。本講義では、都市の形成・発達と環境を取り扱い、そのなかで都市の抱える問題について考えていく。はじめに、都市に対する基本的な見方、とらえ方を講義する。その後具体的な事例を示しながら都市について講義する。」
 
となっていました。
 
 
 
講義内容は以下の通りです。
 
・都市地理学の学び方
・都市の概念
・都市の立地
・都市の分類
・都市システム
・都市システムの例~アイルランド
・都市の内部構造
・都市の内部構造の変化
 
 
 
都市地理学という地理学の研究分野ですから、その名前の通り研究対象が都市になる訳ですが、都市を研究対象としているのは地理学の他に、社会学、経済学、政治学、建築学なども挙げられます。
 
ということは、純粋に地理学の研究手法のみで都市を語ろうとすると、他の学問のことを無視してしまうこともありますし、その逆も勿論言えるでしょう。
 
このブログで、「地理学は地球を学ぶ学問である。」と繰り返して述べている通り、地理学の研究手法はたくさんあります。
 
なので、この講義の最初に、「地理学とは何か?」を再確認し、景観の基礎学習、基本的な地域の捉え方、比較地理学の手法などを学びました。
 
地理学における地域の捉え方には、大きく分けて以下のような形で存在します。
・全体地域と部分地域
・等質地域と結節地域
・形式地域と実質地域
 
それぞれを深く学ぼうとすると、それだけで一つの講義として成立してしまうので、概略を学びました。
 
また片柳先生の研究分野の一つである比較都市地理学の根底にある比較地理学の手法の基本も学びました。
 
余談ですが、私の卒論では比較都市地理学的手法でまとめませんでした。
(そこまでする必要もない地域研究というのもありますが…)
 
また都市の分類については、政令指定都市、中核市、特例市の制定当初の要件などを学び、都市の内部構造に関しては、先達が示してきた都市構造モデルを幾つか学びました。
 
 
研究手法だけではなく、実際の都市を事例に、講義で学んだことが実際の都市ではどのように表れているのかということも学びました。
 
都市事例としては、
・篠山市
・香港
・イスタンブール
・ダブリン
・コーク
・ゴルウェー
・リムリック
・ウォーターフォード
・ダンドーク
・ウィーン
・会津若松
・倉敷
・函館
・桶川
です。
 
ダブリン、コーク、ゴルウェー、ウォーターフォード、ダンドークのアイルランドの各都市は、前述の都市システムの事例として、都市を階層区分で分類し、各都市の都市地図を利用しながら各都市の特徴を掴みました。
 
他の海外の都市は、アイルランドの各都市と同じように、都市地図をメインに都市構造や都市システムについて学び、国内の都市については、地形図を過去のものと現在のもの(受講当時に一番新しい図歴のもの)などを並べて、都市がどのように変化してきたのかを学びました。
 
 
受講当時、都市地理学のほかに地理情報システムや地域分析に関する講義も受講していたので、都市を都市地理学の研究手法の他に、都市を数値化などでデータ化し比較したりする手法なども学んだので、都市を多角的に見る方法を一気に学んだような感じでした。
 
 
残念なことに、大学在学時にはそのような方法を巧みに使いながら、都市を研究することはありませんでしたが、地理スクール“Geographic Institute”を開講した時に再び地理学と本格的に相対することになった時、真っ先に都市地理学の学び直しから始めました(笑)
 
 
他の地理学の研究分野も奥が深いのですが、都市地理学も学べば学ぶほど奥が深くなり、様々な方向に道が別れていきます。
 
いつまでも興味関心の意識を持ち続け、学び続けていきます。
 
 
 
『新しい都市地理学』
(高橋伸夫、菅野峰明、村山祐司、伊藤悟/東洋書林/1997)
 
都市地理学の講義では、使うことはありませんでしたが、参考図書として購入しました。
私の都市地理学におけるバイブル的一冊です。
 
 
都市地理学の講義ノートです。
 
 
都市地理学の講義プリントです。