正直、最初は治療もどうしようか迷った
だって絶対リンパにまでいってる
右胸いっぱいに広がった癌は
毎日、癌細胞を放出してるって感じる
抗ガン剤で苦しむなら
余計なお金をかけるのなら
いっそこのまま何もせずに…
そんな気持ちを変えたのは
学生時代からの親友の一言
『私の彼も癌をやって
リンパにまで広がってたんだって。
だけど手術して10年以上経ってるけど
再発もせずに元気だよ。』
私の病気の報告にも動じずに
絶対大丈夫だと言い切った彼女の直感は
気休めとはちょっと違っていた
『彼 全然、死んじゃう気が
しなかったらしいんだけど
手術してくれた先生が手術始まる時に
お念仏唱えはじめたんだって
その時はさすがに怖くなったらしい』
と、大笑いネタまでくれた。
(死なないかもしれない)
と、なんかそんな気にやっとなれた。
死ぬ事が怖くないと言ったら嘘だ
絶対、苦しいし痛いだろうなと思う
でもどうせ苦しむなら
その時まで考えるのはよそう
出来なくなることを
あれこれ考えるよりはと
死んじゃった場合のメリットを考えた
・大切な人を亡くす経験をしなくてすむ
・これ以上、歳をとらない
・……etc

いろいろ浮かべてみたが
上のひとつで十分な気がした
自分の命よりも
大切と思う人がいる事は
生きる希望にもなるし
死の恐怖からの救いにもなる
誰かを失う悲しさを考えたら
病気になったのが私で良かったと
心から思う
いろんな宗教を信じる人たちが
死後の世界を信じるように
精一杯生きたなら
私はこの世に残る人たちの
心に生きると信じる
私を知る人が誰もいなくなっても
私が生きた事で
少なからず影響をうけたひとが
他の誰かにも影響を与えていくだろう
そうやって
誰が欠けても成立しない
世界が
未来が
広がっていく
私にとって
先立った人たちが
そうであったように
私もそうなるのだと
思ったら
もう、死ぬ事は
それ程怖くない気がした
精一杯生きよう
誰かの心に生きられるように