交代したばかりのかかりつけ医が言った。

「あにたのBNPは520なので、いつ心臓がパンクしてもおかしくない状況にありま

す」

 早速、インターネットで調べると、どうやら容易ならざる病状のようである。

 いつもお世話になっている薬局のオーナーに聞くと

「なんだって、BNPが520?間違いではないの。それが本当なら効くクスリはない

よ」

 私はすでに89歳、これから長生きしてもさしたる生きがいもないので、死ぬことに

はあまり抵抗を感じない。むしろ、長男や次男がこんな病気になったらたいへんななシ

ョックを受けるだろう。

 ある友人に尋ねられた。

「何か自覚症状はあったのか」

 うーんと唸った。特に体系的に整理していないが、最近は、奇妙なことがいろいろ起

こり困惑している。例えば身体のふらつきがエスカレートしているし、意識がとぶこと

も珍しくなくなった。

 

 ある医療関係者に入院について相談すると、その必要性は感じると言ってくれた。

 ここで冷静になり、もし私が入院したら、誰が一番困るかと言えば妻である。私の毎

日の家事応援力は馬鹿にならないからである。今入院したところで病気は治らないだろ

うし、死ぬのもすぐではなかろう。

 今の私は、まことに宙ぶらりんな立場に立たされている。すでに禁煙禁酒も完全に実

行しているし節煙も実行している。

 これからどう生きるか考えると、ただただ、当惑するばかりである。

 

 

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