10月31日ジェリーさん永眠
いつものように帰宅して部屋が暗いまま荷物を置き、電気をつけた。
毎日、階段をのぼると御迎えにくるジェリーさんが来なかったので、予感はしてた。
昨日変えたばかりの羽毛布団のフリースカバーの真ん中で、ジェリーさんはいつものようにぐっすりと眠るように…逝っていた。
体はまだ温かく、きっと眠りながら私が帰るのをまっていたのだろうと、さっきまではホントに普通に寝ていたのだろうと想像できた。
違うのは、ただひとつ。
もう呼んでも返事をしないこと。
ただそれだけ。
眠りながら、どんな夢を見ながら、天使につれていかれたのだろうね。
そろそろ尻尾がふたつにわかれても良い頃だと思ってた。
私が、高校生の頃。
頭脳明晰だったリンス(♂)が、野良の子猫たちにゴハンをやってくれと毎日引き連れてきた。
そのうちの一匹だった。
他の子よりも小さくて、ゴハン競争にも負けがちで。
人に怯えて、リンスにしかなついてなかった。
日がたつにつれ、リンスが連れてくる子猫は減ったけれど。
小さな白い子猫は残っていた。
毎日、必死にリンスについてくる子猫。
でもヒトの前では餌をたべず。
水も飲まない。
いつまでもなつかない子猫は、とうとうある日、寒くて閉められた窓の内側にいて、外に逃げはぐった。
リンスはと言うと、好きにしたらとばかりに家に帰らない日が続き。
もう一匹のトム(♂)は子猫が苦手で、私の部屋に子猫を隔離する事になった。
部屋の隅で、タオルに隠れてなるべく出ないようにする子猫。
ベットのサイドポールを使い、三角柱の簡易テントを作ると、そこをパーソナルスペースにした。
1ヶ月たっても2ヶ月たっても、ゴハンを食べているときにくらいしか撫でられない。
ちょっと大きい音を出すと怯えて逃げる。
ヒトは自分に危害をくわえないと。
撫でられたいと。
自分から来てくれるまでいつまでも待とうと思いながら、3ヶ月以上過ぎて。
ある日、はじめて甘えた声で近寄ってくれたあの時の感動は、いまでも覚えてる。
先住ネコのトムがいるから、この子はジェリーにしようと決めて。
体が弱く、走るとすぐにゼイゼイいう子猫は、いつしか、真っ白な美女になり。
外の野良ネコに恋をして。
情熱的に家出をし。
神経質で手がかかる子猫は、むしろ私の面倒を見てくれるような、肝っ玉母さんになった。
眠りながら逝ったジェリーさんは、さっき庭に埋めました。
いつも咲く紫陽花とたわわに実るグレープフルーツの間です。
ジェリーさん。
パパとママそっくりな3匹の美女を産んでくれてありがとう。
いつもそばにいてくれてありがとう。
大好きだよ。