家を8時20分に出て…
新幹線に乗ったり電車を乗り換え、途中で供物用のお菓子など調達し、10時過ぎに葬儀会場の最寄り駅に到着した。
花屋さんの開店時間になったので電話で花束の追加注文をして、駅のマックで「今日、雨降らなくてよかった…」と言いながらコーヒーを飲み、コンビニでお昼を調達し、タクシーでお花屋さんに向かった。
もう追加の花束ができていたので、その分の料金を支払い、全てのお花を受け取って、待ってもらっていたタクシーに乗り、11時ちょっと前に葬儀会場に到着した。
11時集合だけど、もうせっかちな妹さん夫婦は到着していると思った。
が!
誰もいない…
妹さん夫婦どころか、ロビーに人がいない。
広いロビーに、わたしと夫だけ。
事務所に人の気配はある。
カウンターのチャイムを鳴らしたけど、誰も出て来ない。
「やられたか?」
妹さんの旦那さんに携帯に電話をしても出ない。
入り口の「本日の葬儀」のところに伯母の名前は無い。
とりあえず、11時半になって誰も来なかったら、帰ろうか…
いや、伯母さんがここに居るなら、わたしたちだけで送ろうか…と話していた。
それから、15分くらい経って、もう一度、カウンターのチャイムを鳴らしたら、男の人が出てきた。
伯母の名前を言うと「お待ちください。」と事務所に戻っていった。
入れ替わりで、50代前半くらいの男性が出てきた。
その方が、昨夜、話をした担当者さんだった。
会場は間違っていなかった。
すぐに伯母のところに連れて行ってもらった。
3畳ほどの一時安置用の小部屋に、伯母はひとりで待っていた。
棺の小窓から伯母の顔を見ると、寝ているようだった。
今にも、いつものようにキョロっと目を開けて、にっこり笑いそうだった。
だからショックや悲しみは少なかったんだと思う。
お線香をあげて「伯母さん来たよ。ごめんね。ひとりにさせて。みんな来るから、もう少し待っててね。」と言ってロビーに戻った。
妹さん夫婦はお子さんが運転する車で向かっているはず。
渋滞でもしているのかと、もう少し待つことにした。
待つ間、ハサミを借りて、持って行った大量の花の茎を短く切り、棺に入れやすいようにカゴに並べていった。
その作業が終わっても、まだ妹さん夫婦が来ていない。
本当は全員揃ってから話をするべきだけど、時間になったので、先に説明をしてくださった。
その内容を聞いて、わたしは、なぜこんな話をわたしたちにするのだろう…と思っていた。
この先は、ショッキングな内容かと思います。
わたしは延命治療を否定しません。偏見もありません。
その時に家族が苦しんで下した決断を否定や非難なんて、できるわけありません。
ただ、伯母の場合はそういうことになってしまった。という事実があって、なぜだろうと思った時に、医学的に言うと間違っているかもしれないけれど、わたしはそのお話で納得でき、知ることができてよかったと思ったので、聞いたままを記録します。
それでもよろしければ、続きをお読みください。
担当者さんは
「このようなご時世ですし、みなさんいろいろご事情もおありだと思います。」と前置きして… 妹さん夫婦ではなく施設長さんから「家族の意向で」と火葬だけ依頼されたこと。
でも、それでは気の毒だと思い、利益を削って棺などグレードアップしてくれたり、棺にお花を入れることを妹さん夫婦に提案してくださって、今日用意できたこと。を教えて下さった。
それから、わたしは伯母が入居していた施設で、延命治療を受けていたことを知らなかった。
いつからしていたのかは、わからない。
伯母は90歳過ぎていたし、腎臓が悪く、心臓も弱くなっていたから、むくみが出たのだと思っていたが、看護師さんが多い施設だったので、水分や食事が取れなくなったころから水分を点滴していたようだった。内容は分からない。
そのため、体内に残った水分が多く遺体の傷みが早かったのだそうだ。
こちらに運ばれた時にはもう、臭いがしていて、7日後の葬儀と言うことで、保冷庫で安置されていた。ということだった。
さっき、伯母に会いに行ったときは、わたしもマスクをしていたし、小窓のフィルム越しだったのと、部屋の換気とお線香の香りで消されていた。
担当者さんが電話や説明の時に何度も言っていた言葉がある。
「後見人さんたちのお気持ちもありますし、お子さんの気持ちもありますし…」
それは…
妹さん夫婦は高速道路を利用して片道2時間の伯母の元へ行こうとしてたが、子どもが高齢の親に運転させたくない。けれど、自分の都合が付かないから…
結局、伯母が亡くなってから1週間経つのに、まだ誰も一度も伯母に会いに来ていなかった。
ってこと?
さっき、わたしたちがお線香をあげに行ったのが、初めての親族ということ?
だから、担当者さんは、わたしたちに…
「電話でオプションやグレードアップをおすすめするとクレームになったりしますので…」と言っていたのか!
わたしと夫がショックを受けて、固まっているところへ、
やかましく妹さん夫婦と子どもさんとお孫さんが到着した。