特養から、現在入居している老人ホームに依頼して断られた入居前健診が、わたしの元に回ってきました。
総合病院は…受付で「健康診断を受けたい」と言ってもらえれば、予約なしで検査できます。とのことだったけれど、朝イチは混んでいるし時間がかかると思ったので、午後の診察の時間帯に行くことにした。
伯父に会うのは2週間ぶり。
「あれから、まだ2週間しか経ってないんだ」という気持ちと、「もう2週間も経ってしまったんだ」という気持ち。
前回の教訓を生かし…
ベストとハーフケットと靴を持ってきた。
それから、前回は座位が保てず、車椅子を押すときに右斜め前に落ちそうで怖かったので、車椅子用のベルトを用意した。
総合病院までの歩道は駐車場の入口が多く、斜めになっているところがたくさんあるので、慣れてない私が押していくことに不安があった。
玄関で待っていると、伯父が来た。
前回会った時より、体の傾きが緩やかで、背もたれの範囲に収まっている。
状態が良くなったと言うより、車椅子に慣れたという感じだった。
「伯父さん!こんにちは!
今日は病院に行って検査を受けますよ。
わたし車椅子を押すの下手くそなのよ。落ちたら困るから、ベルトしていい?」と安全ベルトをした。
暖かかったのでトレーナーの伯父に、持って行ったベストを着せて、ひざ掛けをおなかと安全ベルトの間に入れ、外出用の靴を履かせた。
まだ、桜は咲いていなかったが、小春日和だった。
途中の保育園でちびっこちゃんたちが遊ぶのを目を細めて「かわいいね」と言いながら見て、踏切ですぐ目の前を電車が通るのを見て、少し離れた遊歩道の入口でしばらく立ち止まって小川を見て…
伯父はここに来て2年半経つけど、見たことが無かったと思う。
5分で着く道を15分かけて車椅子を押していった。
健診を実施している病院は、その病院ごとに健診の項目が決まっていて、そのセットならば普通に受け付けてくれるけど、わたしが希望する「健診の一部の検査を自費で受けたい。結果だけ欲しい。」という利用の仕方は、出来ないわけではないけどイレギュラーな利用方法。
以前、電話で確かめたことを再び受付で説明し、再びどこかに確認してもらうために待たされる。
この間は電話でできると言われたけど、今日は「できません」って言われるかな?と不安になりながら待った。
総合受付で受付が終わり、外来に移動する。
内科外来で受付をすると看護師さんが出てきたので、先ほど受付で説明したことを再び説明する。
しばらく考えて、医師に確認に行く。
また、しばらく待つと診察室に通されたので、若い医師に、今日3回目だけど、ここは我慢のしどころと思い、もう少し詳しく説明をして「検査して頂けますか?」と聞いた。
すると書式を見ながら項目ごとに、今日この総合病院で検査する項目と、老人ホームの訪問医に書き込んでもらう項目をチェックしてくださった。
血圧を計って、ベッドに移して全身の皮膚状態を確認したら、伯父に「では、これからお時間かかりますが、頑張って回ってきてくださいね。」と声をかけて下さった。
たったこんなことでも、じわっと来るくらい…
その時のわたしはいっぱいいっぱいだったのだと思う。
その日の午後は、あまり混んでいなかったので、レントゲン、心電図、採血、特定の感染症検査の検体採取が、順調に1時間半ほどで済んだ。
身長体重は、立って計る機器しかなく「老人ホームで計って下さい」とのことだった。
待っている間、伯父の観察をしていた。
髪型がソフトモヒカンになって、イケおじ風になっていた。
麻痺のある右手は浮腫んで、動かなくなってきていた。
やっぱりろれつは回らないけど、今日は目が開いていて、こちらの話はしっかり分かっているみたい。
が、ちょっとした待ち時間は、すぐに眠ってしまうので、ハーフケットを肩までかけてあげると、気持ちよさそうに寝ていた。
傾眠なんだと思う。
全ての検査が終わり、27000円支払い、診断書受け取り証を受け取って、暖かい夕暮れの中、伯父を老人ホームに送って行った。
天気のいい日は、度々、こうして外に散歩できるといいんだけどな…。