注意前記事からの続きですが、同じように医師からの言葉に傷つけられた体験をされた方は、ご気分が悪くなるかもしれません。お願いご不安がある方は、このページをそっと閉じていただければと思います。私自身も思い出して吐きそうです。

 

 

 

 

 

 

 

MRIを撮り終え、しばらく待って呼ばれた。

 

 

診察室に入って、医師は開口一番…

 

 

こういうのって老人ホームでケアするんじゃないのー?

 

そのための老人ホームがあるんでしょー?

 

この状態で病院に連れてきても、救急車呼んでも、どこも受け入れないでしょ?

 

だってこの年齢でしょ?

 

どこも受け入れないでしょ

 

治療法が無いものっ!

 

 

MRIの画像をささっと送りながら言った。

 

 

今回の症状が出るような新しい大きな梗塞や脳出血があるわけではないねー

 

もしかしたら、小さい梗塞がきっかけになったかもしれないけどー

 

一応、今まで、何度か伯父のMRIやCT画像は見ている。

入居前にもMRI画像を見たが、その時より明らかに頭蓋骨と脳の間に大きな隙間が空いて、溝も大きく深く、脳室も大きな空間になっていてた。

そして、その意味も分かっている。

 

 

もう、脳が無いんだよねー… 

 

 

は?ムカムカ

 

伯父は、見た目はこんな状態だが、相手が言っていることは理解できる。

 

やめてほしかった。

こんな酷い言葉、聞かせたくなかった。

 

「昨日まで、ゆっくりでも歩いたり、しゃべったりしていたんです。それが、不思議なくらいな脳の状態ということですか?」と聞くと、画像の詳細を説明しはじめた。

 

例え、老人ホームに帰ってお昼ごはんを食べる頃、伯父は30分前に自分が病院から帰ってきた事も、医者に言われたことも忘れてしまっているけど、聞かせたくないし聞く必要はない。

 

一瞬、伯父を廊下に出そうかと思ったが… 

誰かが見ていないと、車椅子から転落しそうだから、ひとりにしておけない。すると…

 

 

もう、海馬がなくなっちゃってるね。

 

 

若い人の脳がどうなっているか、比較の画像を見せられた。

 

もう、海馬が無くなっているとかそんなことよりも、このMRI画像は脳が白く映し出されるのかと思っていたら、若い人の脳は全体が暗いグレーだった。

 

すでに医者の言葉なんて聞こえない。MRI画像に集中した。

 

伯父の脳は全体的に頭蓋骨よりふた回り小さく、真っ白で頭蓋骨と脳の間には黒く脳脊髄液が溜まっている。

 

眼球より上の脳は、溝が深く大きく入り込み、脳自体は全て真っ白でサンゴのよう…。

 

眼球の高さでも、溝は深く脳全体がほぼ真っ白で所々にわずかにグレーの部分がある。

もしかして、動いているのはその部分だけなの?

その面積は、萎縮した脳の1/3あるかないか…

水は黒く映るのだったら、この白い部分は血流が少ないってことか?

それとも白質化してるの?

 

そして、気づいた。

左の側頭葉の辺りが、明らかに崩れていた。

表現の方法がわからないが、周りより一段低くなっていて不自然に細かい亀裂が入って密集してる。

「崩壊している」という感じの画像だった。

 

昨年、左頬を顔面骨折した時に、ぶつけた衝撃で脳になんらかの影響が出て、今、このMRIに写っているのだろうか。

ならば、今回、右に麻痺が出たのも納得がいく。

 

それに、去年の夏にクラスターが起きて、隔離生活がつづいてから、ふらつきや失禁が増えたのも分かる。

そこで、認知症が一気に進んだ実感があった。

その時から現れた、ふらつきも、失禁も、足が弱ったとか、前立腺の薬をやめた影響ではなく、認知症の症状だったんだ…

 

ああ…

認知症って、こうやって進行していくんだ…

予兆はあったのに…

気づかなくてごめん…

 

いろいろ聞きたいことはあったけど、やめた。

伯父を治すことのできないくせに酷いことを言う人の、話しなど聞く必要ない。

 

もう誰も、何もできることはないのでしょう?

あんたも、何もできなんだろ?

だったら黙れ!

 

「ありがとうございました。」と言うと、背中から

 

 

 老人ホームでよくケアしてもらって!

 

 

 …。

 

 

会計を待っている間に、ジャンバーを着せようと思ったけど、ジャンバーがきつくて車椅子に乗ったままでは、着せられない…

そもそも、これは伯父のジャンバーか?

前の通院の時に、全然、靴が履けないと思ったら、違う人の名前が書いてあったのを思い出した。

ひざ掛けをひろげて、伯父の体をすっぽり包み、ストールを頭から肩に巻き付けて結び、老人ホームへ帰った。

 

老人ホームの職員さんに診断結果を伝え、訪問医へ詳しい医療情報が送られることを伝えた。

 

そして、介護区分の変更の手続きをしたいということと、後見人の弁護士さん、入居待機している特養への連絡する旨を伝えた。

区分変更手続きについては、老人ホームからケアマネに連絡してくれるとのことだった。

 

別れ際、伯父に「もう少ししたら、さっき通った道の桜が咲くから、見に行くよ!ちゃんとごはん食べて、元気でいるのよ!」というと、「おおーん、あーあーあー」って聞こえたから、「おお、わかった、ありがとう!ありがとうさん。」って、いつもみたいに言ったんだと思う。

 

 

老人ホームから、泣きながら帰るのホント…何回目だろう…

 

今度から、伯父を連れて外出する時は、靴と上着と着替えを持参しようと思う。