伯父が早朝にトイレで転倒し、救急搬送されてから3週間が経った。

 

翌日、病院に付き添い医者から説明を聞き、老人ホームに送り届けたが、やはり伯父は自分が転倒してケガをしていることを忘れ、ふらつくのに歩こうとしたらしく、すぐ移動には車椅子が用意され、その翌日には「ベッドの足元にはセンサーを付けてよろしいでしょうか?」と連絡が来た。

「こちらこそ、相談してお願いしようと思っていたところです。大変ご迷惑をお掛けします。」と伝えました。

これも一種の拘束なのだろうけど、本人の思い通りに動くと、ケガをしてしまうし、まだ本人の身体を直接どうこうするわけでもない。

 

でも本当に、こういうのどうしたらいいか迷ってしまう。

 

そうして、福祉用具を使うことになったので、ケアマネと老人ホームでサービス計画書(支援内容)や利用票(料金)を確認するため、老人ホームで集まることになった。

わたしは、何かの折にある徴集されるこのミーティングには伯父も同席するので、話をしたり、服装や顔色を見たりすることができるので有難い。

 

 

自分の体温や体調を確認して、老人ホームへ向かった。

 

ミーティングルームに案内されると、相談員さんと伯父がやってきた。

 

伯父はわたしのことをいつものように「誰だろう?」という顔で見て、知らん顔でイスに座る。

なので「伯父さん!こんにちは!わたしのこと誰かわかる?伯父さんの妹の〇子の娘のちぃです。姪っ子ですよ。」というと、全然わかってない表情で「あーそうなの!」と驚いてにっこり笑う。

 

ここまでが再会した時の、お約束になっている。

 

ヘアマネと相談員さんとの話し合いや確認が終わって、伯父に差し入れのお饅頭を食べさせながら、顔のケガの状態を見た。

頭から血が流れているのかと思うほど、真っ赤で腫れあがった左半分の顔は、薄い茶色で皮膚と大して変わらない色にまでなっていて、頬の陥没もたるみとしわで、言われなければ分からないくらいだった。

しゃべったり食べたり飲んだり、口を動かすことにも支障が無く、痛みも麻痺も無いようだった。

 

何より、自分で普通に歩いていた。笑い泣き

 

どうやら2,3日は車椅子を使ったけど、特に足が悪いわけではないので、本人は車椅子に乗ることを忘れてしまい、逆に部屋に車椅子があると、下手に掴まったり、服をひっかけて危ないらしく、使わなくなったらしい。

 

お部屋のポータブルトイレも、伯母のベッドが撤去されて広くなったので、そちらに移動させたら、もうトイレがあることも忘れてしまうようで、転倒した共用トイレに行ってしまうらしい。

 

本人は全く意図せず、本当に、みなさんの気遣いをことごとく無下にする伯父。チーン

 

こうして居られるのは、みなさんのお陰なのに…

 

そう笑いながら、相談員さんに特養に申し込みに行った話もした。

 

特養のホームページのおしらせが毎日のように更新されているのだけど…

わたしが申し込み書類を持って行った日の2日前に最初のコロナ陽性者が出て、それから、毎日陽性者が出て職員と入居者40人を超えるクラスターになっている。

順に回復していて現在休んでいる職員さんは3人くらいだが、入居者の陽性者が20人以上をキープしている状態。

 

書類を提出した日のうちに、落ち着いたら連絡をください。とメールをしたが、連絡がくるのはまだ先だと思う。

 

 

すると相談員さんに、今回の特養の申し込むことにした理由を聞かれた。

 

申し込んだ理由のひとつは、入居して2年経って90歳になった伯父の老化が著しく、小さい規模のバリアフリーの生活環境(せめてワンフロア)が必要になったと思うこと。これから、体調を崩すほどでもないけど「今日は体が動かないからお部屋で少し寝ていたい」という日も出てくると思う。

 

もう一つは、費用が安いので、妹さん夫婦の振り込みが無くても、伯父の保険や定期を解約すれば、なんとか5年くらい賄えること。

 

もう一つは、わたしの病気はごく初期で再発の可能性は低いけれど、今後どうなるかわからないし、わたしの代わりはいないので、わたしが動けるうちに、伯父を最後まで預けられる施設に移したいこと。

 

今の老人ホームには、心から感謝している。

 

認知症のふたりを受け入れて柔軟に対応してくれたし、そのおかげでふたりで過ごす時間を2年も延ばすことができた。

伯父も最後まで居たいと言っていたほど、居心地がいいらしい。

それは、伯母が居なくなってしまって、崩れてしまったけれど…

 

自分の仕事や長年住んだ家も忘れてしまうのに、伯母のことは時々「妹」になったりするけど、忘れない。

 

毎日のように職員さんに「□子が居ないけど、どこに行っただろう?」と聞くらしいし、最近、不安を口にすることが多いらしい。

今日のミーティングの間、何度か「ここに居ていいの?」「この話し合いは何?」「説明されてもよくわからないんだよなぁ。」と言っていた。

そして、いくら説明しても、今日はダメだった。

 

特養に移動したら、伯母のことも忘れるのだろうか?

 

いつ、特養の順番は回ってくるだろうか?

 

伯父…案外、長生きしそうだよね~ 笑い泣き 元気でいてね。