伯母が転居する日

 

お部屋を片付けさせてもらうために、施設長さんと部屋に向かう。

 

鍵をあけてもらってお部屋に入ったら、ものすごい尿臭…チーン

でも、お部屋のポータブルトイレをちゃんと使えていることがわかりました。

 

部屋のカーテンと窓を開け、借りていた布団カバーなどは外して、返却するものを施設長さんに確認してもらった。

そして、カバーを外した失禁などでシミがついた掛布団と敷布団を布団ケースに詰め込んだ。

 

床はしばらく掃除されていないようで、ホコリとごみくずが散らばっていた。

クローゼットに使っていないタオルがあったから、それで掃除しようと思ったけど四つん這いになる気になれない…

足でタオルを踏んですべりながら床を拭いてかきあつめ、そのままタオルで包んでゴミ袋へ入れた。

 

クローゼットの上段は、洗濯したのかしてないのか分からない衣類と、洗濯済みのビニール袋に入った衣類と、中の衣類を出した後のビニール袋が混ざった状態でプラスチックケースの上に山になっている。

もちろん、ズボンも上着も靴下も分類されていない。

昨日、整理した伯母の引き出しの中もそうだった。

 

「きちんとしてくれていない!」と思うより、この老人ホームは「自分の衣類を管理できる人」向けなのだなと改めて思い知らされた。

もう自分が失禁して汚れているズボンを履いているのかどうなのか分からなくなっている伯父が、ここで生活することには、ムリがあるんんだなぁ。と思った。

でも、このままには出来ないので…

まずは、ビニールだけをかき集め束ねて空気を抜いたら結んでゴミ箱に入れる作業をしばらくして、服を片っ端からたたんで分類して重ねてクローゼットに並べておいた。

きっと引き出しに入れてしまうと、伯父は服を見つけられないだろう。

 

まだ伯母のジャンバーや下着が残っていたので、当日使用のものを入れる紙袋に入れた。

 

クローゼットの下段から何かが付着してガビガビだし埃や食べこぼし?だらけの毛布や布団カバーも見つけたので、それも布団ケースに詰め込んだ。

クローゼットの半分が空いた。

 

部屋を片付けていたら、30分以上かかってしまったので、もうお迎えのワゴンが来てるかもしれない。

伯母の着替えをさせなくちゃ!と布団ケースを持って降りていき、玄関の妹さん夫婦に「すいません。これ持ち帰って、粗大ごみに出してください。」と言い、車に乗せた。

 

本当は、こちらで粗大ごみの手配をしようと思ったけど、お金がかかるし、日にちが短くて申請が間に合わなかったから、持って帰ってもらって処分してもらうことにした。

 

黙って座ってるだけなのだから、それくらいしてもらってもいいよね?

 

ん?もう11時近いのに、ワゴン来ないじゃん?渋滞かな?

 

とりあえず、伯母を着替えさせるために、伯母を呼んでもらい、お部屋に連れて行った。

 

エレベーターで「こんにちは!伯母さん、久しぶり!姪のちぃだよ」と声を掛けたけど、どこ見てるわけでもないけど、わたしを見るでもない。

伯母は、生気も体も薄くなった気がする。わかるかな?この表現。

そして、風船のようにふわーっと移動する。

もう幽霊なんじゃないかって、思う感じにふわーっと…

 

杖は無理。

手摺りも4,5歩くらい歩いたら足がついてかないだろう。

もう誰かが体が真っ直ぐになるように支えなければ、歩けない。

 

これは…

今日の長距離移動に耐えられるかしら…耐えたところで、体力消耗しすぎないかしら…

 

 

ニコニコ「伯母さん。今日は、お出かけするので着替えますよ。」

おばあちゃん「お出かけするの?」

意外にしっかりした声だった。

 

ニコニコ「そうですよ。今、着ている服とこっちの服とどちらを着ますか?」

おばあちゃん「こっち右差し(新しい服)」

即答したので、びっくりした。

 

ニコニコ「わかりました。じゃ、こっちを着ましょうね。」

おばあちゃん「脱げばいいの?」

と、脱ごうとしてくれるけど、もちろんズボンもカットソーも脱げない。

そして、自力で着られない。

唯一、カーディガンのボタンの一番上を留めたら、下のボタンを全部閉めてくれた。

 

受け答えも、文字列にするとこうだけど、ゆーっくり。

 

着替えが終わって、もうワゴンが待っているかな?と思って、降りて行ったけど来ていない。

うーんチーン

 

一旦、伯父の元へ伯母をリリースした。

 

本当に… 本当に来るのかな?滝汗

 

 

つづきます…