わたしの家から歩いて10分ほどの距離に伯父と伯母が入居している老人ホームがある。
隔週の診察日だったので、クリスマスイブの朝イチ、訪問医には時間を取ってもらい、老人ホームで健康診断の結果と今後の検査や治療について相談した。
いつも、ケアマネに相談すると、すぐに電話を代わって対応してくれる訪問医だったが、実際に会うのは入居時の短い面談以来だった。
改めて、わたしはふたりにとってどんな関係なのか聞かれた。
いつも、ただの姪なのに、わたしは過保護な親のような相談している気がする。
でも、何かあった時の身元引受人だから、仕方ない。
健康診断の結果を渡し、先に伯父の結果を見てもらった。
数値的にほとんど正常。心電図に所見があるけど年齢なりの動脈硬化の結果で、89歳にしては恐ろしく元気らしい。
そして伯母。
腎臓の値がやっぱり悪いことを指摘された。
レントゲンと心電図の所見について「一度、心臓エコーをした方がいい」と言われたと伝えた。
でも、この間の健康診断の外出時、外出が伯母にはとても負担になっている様子だったので、連れだすことを迷っていることも伝えた。
すると訪問医が「わたしは循環器が専門なので、年明けにでもホームでポータブル(超音波検査機)を持ってきて検査しましょうか。」と言ってくれた。
相談してみて良かった。
伯母の体重は食べムラがあるものの食欲はある方で、90歳なのに1年で6㎏増えた。
しかし、今後は急激に体重が増えると心臓に負担がかかるかもしれないので、今、飲んでいる降圧剤を少し強いものに調整して様子をみて、同時に、ホームで様子を見ながら食事の量や塩分の調整をしてもらうことになった。
すると、ふたりの入居前の様子を聞かれ、どういう経緯で私がふたりをみる事になったのか質問された。
やっぱり、姪はめずらしいか…
上京するまで1回しか会ったことは無く、2年前まで5回程度しか会ったことはないこと。
伯父は工芸家なので自宅が仕事場で、会社で働いたことはほとんどなく、伯母も働いたことがないので、ずっとふたりで自宅で過ごす生活だったらしいこと。
2年前に手術することになったと連絡が来たので訪ねてみると、多頭飼育崩壊現場のような、山になったホコリの隙間でネズミの糞の上の座布団3枚の上にふたりがうずくまっていて…伯父も伯母も認知症なのが分かって、週に2、3回ほど片付けたり食べ物を届けたりして、その合間にヘルパーを入れたり、配食サービスをお願いしたけど、健康状態がどんどん悪化して、このままでは死んでしまいそうなのに、伯母方の親戚の経済的虐待と精神的虐待もあり、無理やりこちらに入居させてもらったとを、駆け足で説明した。
わたしの両親は70代で、祖父母も70代で亡くなったので、90歳の高齢者の日常生活や認知症の知識がないし、子どもではなく「姪」なのでいつもわたしが判断していいのか、わたしの判断はこれでいいのか分からない。それを、ケアマネには伝えていたのだけど、それを聞いていたのか、訪問医が…
ふたりきりの生活で長い時間をかけて徐々に伯父様と伯母様のどちらかが、たぶん伯母様が先に認知症になり、その変化を伯父が受け入れられないうちにご自身も認知症になって…ホームでの様子からすると…伯父様が過干渉気味なので、ふたりでの生活の中で伯父様が伯母様に手を上げたりすることあったと思います。
このタイミングで入居させて、正解だったと思いますよ。
と。
そうでなければ、伯父が加害者になっていた可能性もあったと…。
わたしが心を強く持って突き進んだのは、誰も加害者にしない。という気持ちだったと思い出した。
一番弱い伯母に、みんな酷かった。
伯父も、妹さんも、妹さんの旦那さんも…
伯母を助けたくて、いろんな問題を棚に上げて押し切った入居だった。
伯母とは入居後に話をする機会もなく、この間の健康診断の時も病院に到着した時点で疲れていたのと、その日はあっち側から戻ってきていない日だったからあまり話せなくて、伯母が今の生活に満足かは分からない。
でも、今は充分に必要なケアがなされている生活だと思う。
伯父は、ここの生活がとても気に入っている。
ここの生活が楽しいから、最後までここに居たい。と言っていた。
でも、最後にハッキリ「長くてもここに居られるのは3年くらいだと思います。この施設では看取りをしていないので、次に行く場所を準備しておいてください。」と言われた。
伯母の検査や経過観察をしてもらえることにはなったけど、特養を探すのは、もう決定事項です。
でも、すこし時間の猶予があるみたいで、良かった。(´;ω;`)