先日、深夜に何気なくテレビのチャンネルを変えていると、見たことのある人物が映っていた。
伯父が最後に認知症の診断書を書いてもらった先生だった。
「ETV特集 精神科病院×新型コロナ」
とても、辛い内容だった。
都内の精神病院でクラスターが起こり、その患者が運ばれてくる。
しかし、運ばれてくる患者さんは下の世話もきちんとしてもらえてなかったり、感染者を1部屋に隔離して外から鍵をかけていたなどの証言もあった。
1軒の病院ではない。
新型コロナに感染した、精神科病院の入院患者さんたちは人間として尊重されているのか?(日常的に人権を侵害されていないか?)という内容と、私は受け止めた。
コロナの治療が終われば、またその病院へ戻さなければいけない。
しかし、帰した先の病院で、その患者さんが人間らしい扱いを受けられるのか?
だが、もしその病院の看護体制や不備を指摘し、病院が閉鎖されれば患者さんの行き場所がない。
家族も引き取りはしない。
院長だったその先生は、その状況に憤る若い医師を悩みつつも諭す…
その中で「みんな、見たくないものを、精神科病院に閉じ込めているんですよ。」という、元も子も希望もない…苦悩と切ない言葉が印象に残った。
老人ホームに入居させる前に、わたしは伯父に認知症の検査を受けさせたかった。
認知症の検査結果で、伯父の後見人である弁護士さんを保佐人から後見相当に引き上げて、伯父に何かあった時の準備をしたかった。
なぜなら、とても分かりにくいが、伯父は元々ふわふわした人で、認知症になってからは取り繕いが巧妙だから、認知症なのかこういう人柄か、関りが浅い人には分からない。
そして、社会生活の経験が乏しいので、難しい契約の説明などは、きっともうとっくに理解できなくなっている。
判断できないと相手の言うとおりに委ねてしまう。
委ねるというより、「好きなようにしていい。」と放り出してしまう。
そのせいで、詐欺にあって預金の大半を取られてしまった。
伯父は判断力も急激に低下してるし、入居してしまえば面会もままならず、弁護士が保佐人の立場では、もうどうにも動けない状態になるのは目に見えていた。
しかし、検査の予約に何度電話をかけても、いつも伯父を診察してくださっていた医師の予約が取れず、一番早く予約が取れたのが、この先生だった。
今思い返すと、
だからか…と、思うところがある。
この先生には、わたしのことが「認知症の伯父を見えないところに追いやって、財産を取り上げようとする親類」と映ったのだろう。
姪っ子が…
認知症の伯父の面倒なんて、余程、見返りが無ければ、普通はみないよね。
そうだよね~
わたしもそう思う…
先生は、そういうのをいやと言うほど見て、絶望してきたんだろう。
だから、認知症検査の結果が1年前の半分の数値になっても、検査した先生から特別にコメントが添えてあっても、「後見相当」ではなく「保佐人相当」の欄にチェックしたのだろう。
先生は伯父を守ろうとしてくれたのなら、納得がいった…
でもね、先生。
伯父は幸せそうですよ。
もう私のことも、わからなくなっているけど、
毎日楽しくて、死ぬまでここに居たいって言ってますよ。
そして、わたしは伯母がいつからか大量に買い貯めたハンカチ3枚と、伯母が使った古い料理の本と、古い刺繍の本と刺繍糸を何束かもらいましたが、それ以外は、伯母と伯父の笑顔くらいしかいらないです。
もっと話をすればよかった。
希望を持ってほしいです。