7月下旬に伯父宅へ訪問した時の事。

 

汚屋敷の 復活した台所の魔物と、最後に挑んだ寝室のラスボスと戦って、なんとか片付けた。 

伯父は、それが気に入らない。
 
扇風機をちょっと占領させてもらって、なんとか回復し、さて、そろそろ病院の午後診療に行く準備しますか?

伯父は1週間前に新しく買っていったズボンを履いてる。多分、1週間ずっと履いてる。前面がめっちゃ油染みやら汚れがついてる。
なので、外出できるような服に着替えることをお願いしたが、ズボンだけ履き替えた。上は袖と襟からフリンジみたいに糸が出てる、ユニクロのチェックの半袖シャツ。

ユニクロ着るのかよ…
ステテコとエアリズムをとっとと脱ぎ捨てたでしょ?
この間、買ってきたものは全部ユニクロだよ。
あの涼しいラクな服は、どこへ行った?

伯母には新しく買っていった、ゆるっとした涼しいパンツとTシャツに着替えて、ついでにリハビリパンツを替えるようにお願いした。

そして、その辺りにポイッと置いてあったり、隙間に隠されてる、使用済みリハビリパンツを何個か回収して、袋にまとめた。
折角、アルコールやセスキ水で畳を拭いて、部屋の尿臭が減ったのに、また、尿臭が復活するのは嫌だ。

さあ。そろそろ時間だから出ましょう!となった時、伯父は動かなかった。
タオルケットを捨てられることと、着替えさせられたことが、気に入らなかったのだろう。

もう、私が遠慮をしなくなったのと同じで、伯父も遠慮がない。いくら促しても、リビングに座ったまま立ち上がらない。伯母が促して、やっと立ち上がったが…

 

まずは、診察券と保険証とお薬手帳を探す。

「ここに入っています。」とバッグを指さしても、診察券入れをめくっては「あれ?あれ?」と言っている。そのめくっているものが、探してるものなんですけど…

「診察券とか一式は、私が持ちますね!出る準備をしてください。」と言って、それらを受け取ったけど、まだ、「あれ?あれ?」と言いながら、診察券を探している。

 

半年前は、理解して、すんなり支度ができたのに。

近くにあった巾着に診察券を入れて「これ診察券とお薬手帳です。」と持たせたら収まった。

 

が、今度は鍵が見つからない。
 
伯父は意に沿わないことがあると、パニックを起こしたようになる。

周りのことが、認識できなくなる。

モノも見つからなくなる。
人の言うことが理解できなくなる。


これは、抵抗なのかしら?

それとも、病気の一部なのでしょうか。


口うるさい妹たちに急かされて入院する時は、支払いに用意したお金が見つからなかった。
 

今度は、家の鍵が見つからない。

待っていても「あれ?あれ?」と同じところを何度も確認して、動けなくなっているので、探すために部屋に戻ったら、いつもの場所ではなく、テーブルの上のごちゃごちゃの中にあった。

「伯父さん!これ、鍵かな?」

するとちらっと見て「鍵のようだけど、鍵じゃない!」と言い、「あれー?あれー?」と同じところを何度も探している。

すでに靴を履いて待っていた伯母もしびれを切らして戻ってきて、私の手にある鍵を見て 「鍵!ここにあるじゃない!!」というと、


「そっか、これ鍵か…」

さて、鍵はみつかった。

 

病院とお薬のお金を持たなくちゃいけないんだけど、今度はお金が見つからない。最近、弁護士さんが来たと言っているから、生活費を持ってきているはず…

 

「ん?お金?」と言い、お金を探しに行った。

イヤな予感しかしない。

 

しばらく待つと、「あった!あった!!」と伯父は胸ポケットにお金を入れたが…私にはそれが伊藤博文に見える。

 

「伯父さん。ごめんね。お金見せて~」

 

一応、今も使える1万円札が出てきたが、五百円札も出てきた。聖徳太子の一万円もあった。もう、認知症がすすんだのか、抵抗なのか、パニックかわからない。多分、足りるから、とりあえず出よう!!

 

「そろそろ病院に行きましょう!」と言ってから、30分以上経っていた。

 

実は、汚屋敷掃除をしている途中、大量の小銭が入った巾着やバッグ、箱が出てきた。

集めたらリュックいっぱいになって(重くて背負えなかった)銀行に持って行ったら、3万近くになったらしい。

認知症になると、紙幣や小銭の判別ができなくなって、紙幣を出して、おつりの小銭がどんどん溜まるという現象が起きると聞いた。

 

伯父は普段の買い物に、ナナコカードを使っている。

1万円チャージして、それで買い物をしている。もう紙幣や小銭の認識ができなくなっているのかもしれない。
 

日常生活を送るために必要なことが、すこしづつできなくなってきた。

そのうち、お金を払わずお店を出たりしてしまうのだろうか…