親族の話し合いで、将来、家を引き払うことになるが、
でも、しばらくはここに伯父と伯母は住むので、
どっちにしろ片付けないといけない。

この家は…広い。

玄関ホールが12畳はある。
リビングの他に、全部で5部屋ある。

どの部屋も10畳以上だ。
ダイニングキッチンも壁はきれいなタイル貼りで

L字アメリカンスタイルのシステムキッチン。

トイレは2つ。

庭とテラスもある。

が、前にも書いた通り、リビングは

座布団3枚のスペースしかない。
2階の寝室には布団2組敷いてあり、

布団ギリギリまでモノが積んである。
 

そこをつなぐ通路の両側には、

人の背丈ほど、もしくは天井の高さまでの

何かの山がホコリを被って積み重なっている。
洞窟のよう。

 

そして、ヒーター前の座布団には伯母が1日中

黙って座っている。
 

親族の話し合いの翌日、早速、掃除に取り掛かった。

 

まずはリビングの片隅にある、新聞や紙の山に
大事な書類や現金や保険証が混ざって重ねてある

その一角に着手しようとした。


が!作業スペースがない!!

座布団3枚の空間のうち、1枚には伯母が座ってる。

もう1枚は伯父の座布団。

リビングの壁際には、45Ⅼのごみ袋に入った衣類と

段ボール箱が山積み。

 

開けてみると、1袋は黄ばんだ下着類。

1袋は、くちゃくちゃの穴の開いた服。

1袋は、しつけ糸の束のみ。

段ボール箱には、使用済のボールペンのみ。

片っ端から、ギューギューにごみ袋に詰め込んで外に出した。

まずは5袋。
 

そして、新聞とDMの類を13束。
括るの大変だった。

不用品をまとめている間、ずっと伯父が隣に張り付いて

「それは、何かに使える。捨てるの?」という。
大量のインクを使い果たした使い捨てボールペンでさえ。
全然、手伝いやしない…
なので「ここに10本あるので充分じゃないの~?(^▽^)」と
使ってない新品のボールペン10本持たせる。

靴下はもったいなかったけど、洗っていないのが、

ゴミ袋に左右バラバラにぎっしり入ってる。
なんの神経衰弱だよ…
引き出しに5足は入ってるから、
2つかみくらい出して、ペアになったら

洗いものカゴに入れてもらった。

あとは、さようならです。
(後に2階からは新品が30足くらい入った袋がみつかる。)

何かを書類を探すとき、伯父は「無い!無い!」と、

紙の山をめくって探し、見つかるとまた適当に

めくった間に挟んでしまうため、再び行方不明となる。
特に保険証と印鑑、確定申告に必要な領収書の類!!!
発掘しても、目を離したすきに、ひょいっと適当に

山の間に入れてしまう。

「弁護士さんが必要だと言っていたので、
ここに入れましょうね。」と書類ケースに入れても、

私が紙を分類している間に、わざわざケースから

出して、他の山に挟む。

なーぜー???

5回くらいやって、私も疲れたけど、伯父も自信を無くしていた。

きっと、入院の時に準備した現金も、

こうしてどこかに入れてしまったのだろう。
大事なものは、山の間に片付けているつもり?
どうしてもやってしまう。


ちなみに財布などの貴重品入れの巾着が10くらいあって、

これも宝探しになってる。
 

中腰で重いものを動かす作業が多くて、ヘトヘトだけど、
それでも、1日で座布団5枚分くらいしか広がらなかった。
 

6時になって、伯父に夕飯をどうするか聞くと

「用意する」とゴミ箱みたいな冷蔵庫を開けた。
今日は、もうこれ以上はできない。ごめん。

帰りは頭から足の先まで、ものすごい尿臭。
ファブリーズ浴びたい。

すぐ近くに、オサレなワインバルがあるのに

お風呂に入ってからじゃないと寄れない!!
何より、早く帰りたい。

また、片道1時間ちょっとの距離。


この日、母は「疲れた」と言って、片付けに来なかった。