私の通う不妊クリニックでは
年に一度は
子宮頚がん検診を受けるよう言われる。
ちょうど不妊治療が
休みの周期に入っていたので
婦人科の病院に検査を予約した。
診察台に上がって足を開く行為は
何十回と経験しているのに、
別の病院の別の台だと
なぜか怖い。
カーテンの長さ
照明の当たり具合
台の傾き
先生の手つき
全てが初めてで不安になる。
検査は少しだけ痛むが
ほとんど一瞬で終わった。
結果は郵送で教えてもらうことにした。
2週間ほどして
検査をした病院から着信があった。
嫌な予感がする。
郵送しました報告かも?と
心を落ち着かせて折り返した。
「…検査結果なんですが、
先生が直接お話ししたいとのことなので
来院願えますか?」
うわー
絶対なんか引っかかったと確信する。
今から行きますと伝えて
すぐに病院へ向かった。
名前が呼ばれて
診察室へ続く10mほどの廊下を歩きながら
これは死への行進かと錯覚する。
どんな宣告をされても
受け入れるしかないと腹を括り
診察室の扉を開けた。
「"要精密検査"という結果でした。
ガンだと決まったわけじゃないですが
異常な細胞が検出されたので
詳しく調べる必要があります。
検診ではそこまでしか分かりません」
子宮頚がんについて知識がなく
事が深刻なのかも判断ができないまま
大学病院への紹介状を受け取った。
数日後、精密検査で病院を訪れた。
大学病院なんて何年ぶりだろう。
当たり前だが不妊クリニックと違って
お年寄りが圧倒的に多かった。
呼び出し機械や受付マシンなど
最近の病院はすごいなと
ITの浸透に驚きながら
婦人科の階へ向かった。
これも当たり前だが
婦人科なので沢山の妊婦さんがいた。
不妊不育で何年も底にいる私には
眩しい存在だ。
病院なら目に入って突然だが、
街中であっても
私には妊婦を探知する力が備わっている。
お腹が大っきくなくても
鞄にぶらさげた
妊娠マークを見つける特殊能力がある。
そんなに周りをジロジロ見て
歩いているわけじゃないのに
本当に不思議だ。
精密検査は子宮頸部の細胞を取るもので
プチっという音と感覚で3回取られた。
最初の検診より痛みは強いが
なんとか耐えられた。
先生からは
・子宮頚がんには段階があること
・初期なら一部切除して治ること
・切除により産道が短くなるため
切迫早産などのリスクは高まるが
妊娠出産はできること
・がんだったら妊活は中断して
治療を優先すること
などが告げられた。
「ほとんどの人が精密検査しても
問題なしですから
過度に不安にならず過ごしてください」
私、結構そのレアな確率を
引いちゃう経験ありありなんですけど
と思いながら診察室を出た。
会計に向かおうとすると
先ほど同席していた看護師さんが
追いかけてきてくれ、
渡し忘れた抗生物質と
私を労り案ずる言葉をくれた。
明るく優しいおばちゃんのパワーは
本当に偉大だ。
