私は不育症の要素となる
血液凝固の体質がある。
妊婦はただでさえ
血液が固まりやすくなるのに
更に血栓が出来やすいせいで
血管が詰まって栄養が送られずに
流産しやすくなる。
一年前にこの体質が分かってから
バイアスピリンという
血栓を防止する飲み薬を飲んでいた。
そのおかげか、
3度目の妊娠は初めて
心拍確認まで進めた。
でも9週で突然心拍が止まった。
薬を飲んでいたのになぜ?
血液凝固のもう一つの治療法である
ヘパリン自己注射もしないと
だめだった?
悲しい思いを繰り返さないために
久しぶりに
不育症のクリニックを受診した。
不育症の名医である先生に
今回も胎児の染色体には
異常がなかったことを伝えた。
「あなたの行ってる不妊クリニックは
ちゃんとしてるところだから
染色体検査に不備があるってことは
あまり考えにくいんだよねぇ」
「でも不育症の検査結果を見る限りは
血液凝固異常だけなら
バイアスピリンでいけるはずなのよ」
「今の時点でヘパリン注射を
した方がいいとまでは言えない。
でも追加の治療をしないと不安なら
お守りとしてやってもいいと思う」
「夫婦の染色体検査をまずやってみようか。
もしどちらかに異常があれば
流産リスクがどうしたって高いから
ヘパリン注射しなくていいと思う」
ヘパリンは自己注射で
移植後から朝晩2回。
それが妊娠8ヶ月くらいまで続く。
さすがに自己注射の恐怖や痛みは
そのうち慣れていくだろうが
色々と負担が大きすぎる。
だから指示されない限りは
やりたくないと思っていた。
だから先生が飲み薬のみで
いけるんじゃないかという考えで
ホッとした。
でも薬を飲んでも流産したのに
同じ治療法のままで大丈夫なの?
流産原因を解明しきるのは難しく、
染色体は問題なくても
例えば何か胎児に疾患があって
育たない運命もあるらしい。
この領域は
未知なるもの、神秘、奇跡ばかりだ。
とりあえず私の血液を
染色体検査に出して帰宅した。
数日後、夫の検査に付き添う形で
再び不育症クリニックへ行った。
今後の不育症の治療方針について
改めて夫婦で先生に説明を求めた。
私ではヘパリンを避けたい思いで
誤った解釈をしている可能性がある。
先生は
現在の治療法である飲み薬を
もう一度試してみて、
再び胎児異常なしの流産が発生すれば
治療のステップアップとして
ヘパリン注射でいいのではと話してくれた。
夫もその方針に納得してくれた。
正直私が夫なら、
ヘパリンで効果が出る可能性をふまえると
すぐにでも妻に注射してもらいたいと
思ってしまうかもしれない。
でも
先生がヘパリンの必要性を
現状では感じていないこと、
"お守り"の効果程度なら
私に負担がかからないほうがいいと
考えてくれたようだった。
私はヘパリンを頑張るか最後まで悩んだが
「あなたと同じく一度流産して
ヘパリンを追加するか迷っていた人が
結局飲み薬だけで治療して
安定期を迎えてたよ」
と言われて希望が持てた。
後日、夫婦とも
染色体異常がないことが分かり
安堵した一方で
いつも胎児染色体に異常がないのだから
やっぱり私の身体がおかしいのかと
切ない気持ちにもなった。
失敗に終わったときの治療法を
維持するのは怖い。
でも効果が不明な高負担の治療に
ステップアップするのも怖い。
妊活は決断の連続だ。
決断はエネルギーを使う。
必然の治療ではなく
自分たちの意思でやっているものだから
やめることもできる。
それでも夫婦の思いを一つに
一緒に悩んで判断していく。
同じ治療方法を信じて
続けることには不安もあるが
もう一度やってみないとわからない。
この判断で良かったと
思える日がきますように。
1回目の採卵で凍結した胚盤胞は
あと2つ。
数ヶ月ぶりの移植周期へ突入する。
