安倍政権に『最後通牒』を! 小沢一郎代表 | 『私にも夢がある!』一兵卒の呟き

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今の日本は、安倍政権の下で来るところまで来てしまい、政権を担う政治家たちの資質の劣化が真剣に問われる状況に陥っています。一方で、官僚機構も安倍首相の私権力の統制下で言いなりになっていて、正論を吐く気骨のある官僚もいないのが現状です。

そういう中で今回、財務省の事務次官によるセクハラ事件が発覚しました。このようなことは、本当にあってはならないことであり、ほとほと呆れ返ってしまいます。財務省といえば、官僚の中の官僚、最高のエリート集団と言われる存在です。その中のさらにトップの地位にある人間が、こうした問題で引責辞任せざるを得ないというのは、論評するにも値しない醜態だと思います。

そんな現状でありながら、安倍首相を取り巻く政治家たちは、きちっとしたけじめをつけられないでいます。なぜなら、彼ら自身が権力を悪用し、濫用し、私物化して、自分勝手なことを官僚にさせてきたからです。挙げ句の果てに、何か事が起きると、その責任は全て官僚に押し付ける。本当に荒んだ状況です。

それは南スーダンやイラクに派遣した自衛隊の日報隠蔽問題でも同じです。現場が大事な日報を廃棄するわけはなく、防衛省の上層部に上げていないはずがないのです。それなのに、国会での政府答弁と齟齬があるという政治的理由から、日報は存在しないことにしてしまいました。しかも、当時の稲田防衛相は知らなかったと言い張り、全てを自衛隊や防衛官僚のせいにしてしまったのです。安倍政権がやっていることは、みんなこの構図です。自分たちの保身のために官僚に嘘をつかせ、最後は責任を押し付ける。これでは、官僚を抑えきれなくなるのは当然です。

それでも、世論調査をすれば、内閣支持率はまだ30%もあります。それは、安倍内閣に代わるシャドーキャビネット、つまり、いつでも現政権に取って代わることのできる野党体制がないからです。安倍首相はダメだと思っても、「それに代わる野党がないじゃないか」という国民の苛立ちが、その数字に表れているのではないでしょうか。

野党は、ここまで来たら、明確な発信をしなくてはいけません。世論調査では、自国のトップリーダーである安倍首相の発言や振る舞いを信用できないという国民が70%にも上るのです。そうした中で、「野党は何をしているの?」「全然姿が見えない。声も聞こえないね」というのが、多くの国民の偽らざる気持ちです。もちろん、野党の動きをなかなか伝えない日本の大手メディアの報道ぶりにも大きな原因があるのは確かです。しかし結局は、野党の態度が今ひとつはっきりしないから、多くの国民がしっくりきていないのだと思います。

今の野党はお行儀がいいというか、とにかく国会で論戦をすることが第一だという考えです。もちろん、それはその通りなのですが、現実には国会でいくら議論しても、安倍首相は質問に正面から答弁しないで、「知りません、わかりません」とシラを切るか、「だって、だって」と言い訳するか、質問内容と違うことを話し出すかで、全く議論になっていません。正に、嘘っぱちの連続であり、政府答弁の信頼性が著しく低下しているのが現状です。

文書にきちんと残っているのに、「会った」「いや会っていない」、「言った」「いや言っていない」という不毛な議論をこれ以上国会で続けるのは、もはや意味のないことです。議論の土俵が成立していない異常事態なのに、のこのこと土俵に上がっていく理由は、野党には一切ないのです。私が、そろそろ野党も腹を決めて、安倍内閣に引導を渡すべきだ、と言っているのはそういうことです。

ここに来て野党6党は、政府・与党に対して麻生財務相の辞任と福田淳一財務事務次官の罷免、さらに柳瀬唯夫元首相秘書官をはじめとする森友・加計問題関係者の証人喚問を強く求めました。しかし、政府・与党は何の歩み寄りもみせず、ゼロ回答を続けました。それならば、野党は早晩、国会での論議は意味がないということをはっきりさせるべきです。つまり、多少荒っぽい話ではありますが、全ての審議を拒否して、こんな嘘つき総理とは一切議論はできない、と「最後通牒」を突き付けるべきです。

もちろん、こうした手法には必ず賛否両論があります。しかし、膠着した状況の中で、政治をダイナミックに動かすためには、時には強硬手段も必要なのです。政治的な与野党の戦いを前面に出すことで、大手メディアも報道せざるを得なくなり、どうして国会で論争ができなくなったのかということを、国民自身が考えるきっかけになるのです。

野党はそろそろ踏ん切りをつけて、「安倍首相は相手にせず」という態度を明確にすべきです。今の国会はもう、どうにもならないところまで来ています。そのことを国民に伝える一番の方法は、延々と不毛な議論を続けることではなく、与野党の対立構造をはっきりさせることだ、と私は思います。


小沢一郎語り処より