小沢一郎はいまの安倍政権をどう見ているのか? AERA | 『私にも夢がある!』一兵卒の呟き

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 委員会採決省略の強行採決、実在した「怪文書」……。「安倍一強」のもと、自民党はなぜここまで傲慢になってしまったのか。その源流を「政・官の関係」「派閥弱体化」「小選挙区制」の現場で考察し、いかにして現在の一強体制が作られていったかを明らかにする。AERA 2017年6月26日号では自民党を大特集。

 政治改革の掛け声のもと小選挙区制が導入されて21年。生み出したのは対抗勢力すら存在しない「一強」政治だ。小選挙区制を主導した小沢一郎氏に、その功罪について直撃した。

──小選挙区制の功罪をどう見ていますか。

 中選挙区制のままなら政権与党に野党は勝てません。だから自民党は55年体制から半世紀以上政権与党であり続けました。これは異常なことです。小選挙区制は、国民が政権を選べるという民主主義の機能をきちんと発揮させるための制度。これが導入されたから2009年の政権交代が実現できた。悪かったことは一つもないと考えております。
──小選挙区制のせいで自民党の安倍一強体制が生まれたとの指摘があります。

 現在の自民党一強体制は別に異常事態ではなく、旧民主党も09年の時は圧勝しました。僕が小選挙区制を推進した理由は、政権交代を可能にするということと同時に、自己主張をしない、旗幟を鮮明にしないという日本人の国民性を変えるため。誰に対してもいい顔ができる中選挙区制では国民性は改まらない。国民が自立できるようになれば、政治家の資質、見識もおのずと改善されていくでしょう。

──いまの安倍政権をどう見ていますか。

 安倍政権は、自民党がもともと持っていた哲学とは異質な存在と見ています。自民党は地方偏重と言われてもすべての日本国民に公平に配分を行うことを哲学にしてきた。安倍政権は生産性の低いところや地方をつぶして大企業や都会を生かすという新自由主義的な考え方で、世界を見回しても新自由主義を信奉している国なんて今や日本くらい。反安倍政権の受け皿を作ることができれば次の政権交代は絶対に起きます。

──受け皿はどう作りますか。

 わかりやすいのは野党が結集して新党を作ること。共産党とも選挙協力はする。こういうとすぐ「野合」という批判が出るが、フランスだって極右のルペンに対抗し、いろいろな政治勢力が結集してマクロンを勝たせたわけだから、そうした批判はあたらない。自民党との政策の対立軸はいくらでもあります。

──自民党内で、安倍政権を批判する勢力が失われたのは、党中央に権力が集中する小選挙区制のせいではないかとも言われています。

 無所属で勝てるような強い政治家でも物を言わないんだから、もはや制度の問題というより政治家の覚悟、資質の問題。あらゆる人に幸せを配分するという近代民主主義の政治哲学をしっかり持っている政治家がいなくなったということです。

──風だのみでも勝てるため、政治家が小粒化したという声もあります。

 小選挙区制のせいではありません。イギリスは以前から小選挙区制ですが、サッチャーをはじめ、大物政治家が誕生しています。また、各議員は選挙区を回り、有権者の細かい要望に応えている。民衆の意見をくみ取り、政治に反映するというのが民主主義の基本です。

(構成/編集部・福井洋平)

AERA 2017年6月26日号

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