銅のはしごより
【 記者質疑 】
光文社FLASH ; 衆院選の戦略について。小沢代表の年来の主張である野党共闘,大同団結との絡みはどのようにお考えかを。必ずしも悲観されてはいないだろうが,パッと聞くと矛盾するような印象を受ける方もいるかと思うので,詳しくお聞かせください。
小沢 一郎 代表
野党の共闘が,俗に言う「 オリーブの木 」として完全な形ができたとしても,既存の政党はそのまま存在するわけです。政党そのものが合併するわけじゃないんで,各党がそれぞれの体制を作ることは一向に不自然なことではないと思います。
私は,そのことをまだ,諦めてはおりません。
新潟の知事選挙。これは,民進党なしで 3党でやってるわけですけれども,メディアの皆さんの見るところでも,非常に良い戦いをしていると,なっておりまして,私としては追いつき追い越せのパターンに当てはまってくるのではないかなと,期待しております。
一方で(衆院)補選のほうは,非常に難しい,厳しい。民進党の公認候補ですけれども,その候補者1本ということは,私ども了承したわけですけれども,民進党から推薦の要請もきたわけでもありませんし,その他の社・共のほうも同様のようです。
ですから,民進党公認候補として事実上戦っていることになりますが,(衆院補選)豊島(東京10区)と福岡(6区)両方 同じことです。
その両方の選挙の結果如何によって,果たしてこんな形で衆議院選挙が戦えるんだろうかというような声が,あがるかもしれません。
私はそのことも期待しつつ,最後まで,野党の統一体としての選挙戦ができるように,それを願っております。
テレビ朝日 ; 自由党という名前を選ばれた理由について。小沢代表とは関係が深いと思うが。
小沢 一郎 代表
ひとつは,最初,自民党を離党したときは新生党でしたが,新進党という形で1つの大きな塊りできました。しかしその後,自由党を結成したんですが,私そしてほかの議員も,自由党のときがいちばん政治的理念も,政治政策も,非常にはっきりとして,その意味において,非常に筋道の通った活動,行動をすることができた。
結果として国民の皆さんの支持も,多いときに 600万票 を超える支持をいただいたということもありまして,その双方から自由党というネーミング,期せずして皆の気持ちが一致したということでございます。
もうひとつ。今日(こんにち)に至ってみると,野党の政党の中で,名前がどうこうちゅうわけではないですけれども,いわゆる,いわゆるですよ,保守の人たちの支援を得られるような政党名ちゅうものは,なかなか見当たらない。
結果としてですよ,今思ってるのは。
やはり保守の浮動票,浮動票と言っちゃあれですけど,自民党以外の票を取らなければ,政権は獲れません。
ですからその意味において,民進党も社民党もプラス共産党も,いいですけれども,さらにウイングを拡げて保守層にも拡げていくためには,今思ったことですが,結果として良いんじゃないかと,そう思います。
読売新聞 ; 党名変更に併せて,党の綱領や,小沢代表,山本代表の両共同代表制の仕組みも変えるお考えはあるのか。
小沢 一郎 代表
綱領,政策のこと?
読売新聞 ; はい。
小沢 一郎 代表
それはもうきちんと(作る)。まあそんなに飛び離れたものはできるはずはないですけれども。選挙ということはマニフェストも作らなきゃならないし。その意味では,新たなスタートとして,やり直ししていかなくちゃならないだろうと思ってます。
で,山本さんは別に自由党を離れるわけじゃありませんから。たださっきご本人のお話のとおり,いわゆる山本太郎ファンの票を如何にして散らさずに獲得するかという意味において,選挙戦でそういう方法を取りたいということでしたので,それは良いんじゃないかと。
フリーランス記者・ホッタ ; たとえば衆院選 ・ 東京選挙区に誰か立てる場合,比例は,自由党ではなくて「山本太郎となかまたち」になるわけですか。
小沢 一郎 代表
うん。たとえば東京では,「山本太郎となかまたち」というグループ,団体の候補者が最低4人,比例で立つわけだ。
自由党は自由党で,別。だから,2つは共存することになるね。
フリーランス記者・ホッタ ; たとえば25選挙区のある東京で,小沢さんの自由党がまず何人かを立てると,その人たちは比例はで自由党でいる。
小沢 一郎 代表
もちろん。
フリーランス記者・ホッタ ; 山本さんのところは,比例は「山本太郎となかまたち」ということ?
小沢 一郎 代表
そう,そう,そう。初めて聞いたの?
俺もそこまで考えなかったんだけど,太郎さんから言われて,そういう方法で自分としては自分の固有のプロパーの票をなかまと一緒に集めたいということだから,それはそれで結構じゃないかつったの。
フリーランス記者・ホッタ ; 山本さんは最低,三宅洋平の支持票があるということですね。
山本 太郎 代表
集った票は,どんどん目減りしていくというのは当たり前だと思うんですよね。25万が今も25万あるかと言うと,別の話で。その25万を,どう増やしていけるか。1議席ではなく,2議席,東京でも狙えるぐらいの状態にしていきたいと。
もちろん,そのとおった先っていうのは,皆で力を合わせていかなきゃ,やはり野党側があまりにも力が足りないですから。そういう意味で,力を合わせて,そのあともやっていくという形を考えています。
岩手日報 ; 自由党という名称をご存知の方々からすると,当時の自由党,たとえば新自由主義であったり,新しい保守を目指す当時のスローガン「日本一新」,そういう,原点回帰,を思い出す方々が多いと思う。今度の自由党との政治的な理念の違いは,どのように説明されますか。
小沢 一郎 代表
新自由主義とは,全然別よ。
「新しい自由主義」という意味なら別だけども,今言われている新自由主義とは,全然考え方は違いますよ。
さっき言ったように,自由党ちゅうのは,そのときにいちばん政治理念も,それに基づく政策も,最も純粋ではっきりし,そして自由党の11法案という法律案にして国会にも提出しました。
それに基づいて活動し,多くの国民の皆さんの,世間もマスコミも予想できないような,大きな支持も,得られました。
そういう意味において,原点回帰というわけではありませんけれども,皆の気持ち,意思が一致したということです。
くり返しになりますが,野党がやっぱりもう少しウイングを拡げないと,政権は獲れないということも考え併せれば,自由党という存在も大きな意味があるんじゃないかと。そういうことでございます。
朝日新聞 ; 党名変更のきっかけと順序を。山本さんが衆議院・東京選挙区で独自の戦いをされたいということが発端になって自由党になったのか,それとも自由党が先にあって山本さんは新しい道へということなのか。
小沢 一郎 代表
基本的には山本代表との話合いがきっかけなんですが,さっきのような形で山本太郎票を何としても集めたい,支持を得たい,だからそういう方法でやりたい,というお話もありまして,僕もそれはそれで結構だろうと。ただ「生活の党と山本太郎となかまたち」ってのは一連でずっとこれまで使ってきましたから。片っ方で山本太郎でやって,片っ方で生活の党でやるっつうと,こんぐらがっちゃって何が何だか分からないという一面も,1つの要素です。
そして,それと同時に今後,山本さんも本格的な政治家を目指して,1つの本格的な政党の一員としてやっていくということであるわけですから,これをきっかけに,今さっきから言っておりましたような形で,自由党ということにしようやとなったということです。
共同通信 ; 現在の共同代表,幹事長など,党内の役職,立場に変更はないのでしょうか。
小沢 一郎 代表
今日にも,あるいは間に合わなければ明日の朝にも,役所に届け出て正式にスタートしたいと思いますので,正式にスタートして,そのような色々なことについては考えていきたいと思っております。
時事通信 ; 衆院選比例で「山本太郎となかまたち」と自由党で票を食い合うことにはなりませんか。それは「オリーブの木」構想とは反発して,変わってきてしまうのではないか。
小沢 一郎 代表
いや,全然変わらない。「オリーブ」は「オリーブ」でやるのよ。
だけど2人で一緒の党で「オリーブ」はできないわな。皆他の野党と一緒でやるのが「オリーブ」だから。こっち(山本太郎議員)は党を出てやるんじゃなくて。
たぶんちょっと分かりにくいんだよね,今までやったことないだろうから。
固有の支持票をきちんとまとめていきたいということで,そういう政治団体を作ってやるということ。
これは,全野党の「オリーブ」構想,統一体の構想ができない場合に,まずそういう形で単独ででもやる。
最初に言ったように,あくまでも僕は 最後まで,今度の(新潟)知事選や (衆院)補選の結果によって民進党がどういうふうに考えるか。 ずっと言ってるように,要は民進党次第なんだから。民進党がどう考えるかってことは,分かりません。相手のことだから。
ただ私はあくまでも,考えを改めて,政権を奪取するという原点に帰って,野党の統一体を作るという方向に行ってくれりゃあ,非常に結構だなと思っております。そのこととは全然矛盾しません。
日刊スポーツ ; 小沢代表は,民主党を離れてから「生活」というキーワードを党名にもつけられた。今後「生活」という言葉は政策のメインになるのかどうか。
小沢 一郎 代表
私自身としては,政治は生活である,国民の生活が第一,その基本的な考え方を変えるつもりはありませんし,今後も持ち続けていきたいし,自由党となっても,その考え方を前面に立ててやっていきたいと思っています。
光文社FLASH ; 新党名の自由党の自由という言葉は,今日本の中では色んな意味で使われているが,両代表はどう定義するお考えなのかを。
小沢 一郎 代表
自由ということは,人間にとって最も大事な,基本的な原理でありますし,政治にとっても最も大事な原理だと思います。
しか,その反面で,平等という言葉があります。自由と平等というのは,両方とも,基本的な原理,思想でありますけれども,これは原理的には相反するものでありまして,この自由というものと平等というものをどう両立させるかが,政治の役割だと思います。
ですから新自由主義と呼ばれるようなものは,自由を最優先に考える考え方で,私どもは,これは正しくないと思っています。
社会主義,共産主義は,平等という考え方,政治思想を最優先に考えてできあがったものだと思います。
しかし,そのどちらも,結果としてもの凄い格差と不平等を,そして不自由も生むことになります。
平等を絶対的にやろうとすれば,絶対的な権力が必要になります。共産党独裁という話になるわけで,そうすれば自由はなくなります。
また,自由を新自由主義者のように最優先すれば,そこには大きな格差が生まれます。平等という思想はなくなってしまいます。
ですからその意味において,どっちも大事なんですけれども,基本的に人類の歴史は,自由を求めて闘い続けてきて今日(こんにち)に至っていることになりますので,どちらかと言えば自由という原理のほうが,非常に人間と人間生活にとって大事なものになると。 そしてその上での平等ということを,政治としてどのように運営していくかということだろうと思います。
東京新聞 ; 東京五輪と小池都知事の関係について。小池さんが都知事就任以降,豊洲新市場の予定地の盛り土(がない)問題が明らかになったり,五輪の費用を抑える姿勢を訴えたりしている。いずれも現在進行形で結果は出ていないが,前任までの都知事とは違った姿勢を打ち出せているかと思う。どう評価しているか。良い点,悪い点,改善すべき点についてのお考えがあれば。
小沢 一郎 代表
今日の議題とはちょっと別ですけれども,小池さんが今の問題,広く言えば都政に勇気を持って挑んでいることはたいへん結構なことだと思います。
豊洲の問題にしてもオリンピックの問題にしても,私は官僚を悪者扱いするつもりはありませんけれども,非常にムダ,いい加減さ,そしてものごとを隠蔽する,情報を絶対公開しない,情報を隠しちゃう。色んな意味での弊害がどんどん大きくなってんですね。上に立つ者は,さらにそれをただメクラ判を押すようでは,あるいはそこにメスを入れないようでは,ますます ますます その矛盾が大きくなっていく。これは,伏魔殿と呼ばれる都庁もそうですけれども,霞が関も一緒です。
だからそこに勇気を持ってメスを入れて,ほんとうに開かれた行政が作られ矛盾した問題が解明されることを私は望んでおります。たいへんなことだとは思いますけれども,それを覚悟で知事になり,都民の支持を得て知事になったわけですから,そういう旧体質,旧体制,既得権と,そこは途中で妥協しないで頑張ってほしいですね。
東京新聞 ; 課題や改善すべき点は。
小沢 一郎 代表
何の課題?
東京新聞 ; 姿勢とか手法に対して。
小沢 一郎 代表
旧体制と(妥協せずに),簡単に言やあ自民党や官僚と妥協せずに,都民に訴えたその主張と政治姿勢を貫いてほしい。
読売新聞 ; 自由党としてのスタートは,今日明日にでも総務省に届け出た時点で正式なスタートになるのか。
小沢 一郎 代表
届けた時点で正式にスタート。
