仕事や子育てで、挫折することがありますよね。ここでいう挫折とは、心が折れてしまって、行動できなくなることです。
こんな時、本人にとってつらいのは、立ち直れない自分を責めてしまうことです。夜、寝付けずに何度も寝返りを打ったり、朝起きたら涙が止まらなかったりと、その症状はいろいろです。
こんな時、よくやってしまいがちなのは「早く立ち直ってね」と周りの人が声をかけること。これは、挫折した人を、ますます追い詰めてしまいます。
なぜなら、落ち込むことは悪いことだと本人に伝えているからです。前向きな姿勢を肯定するということは、後ろ向きな姿勢を否定するのと同じことです。
「早く立ち直ってね」と周りの人に言われると、挫折した本人はこう思います。「落ち込んでいる自分は、ダメな奴だ」。そして、さらにへこんでしまうのです。
現に、不登校支援の現場では、NGワードとして「学校に戻る」があります。不登校になった子どもに、「早く学校に戻れるようになるといいね」というのは禁句です。なぜなら、不登校でいる本人を追い詰めてしまうからです。学校に戻れない自分には価値がない、と本人が思ってしまいます。
挫折に関して、間違った対処法が、もう一つあります。それは、とにかく頑張って行動しようとすることです。挫折している自分をごまかして、すぐに行動しようとするのです。
これも、結局は自分を追い詰めてしまいます。なぜなら、挫折する前と後とで、本人が同じやり方を続けてしまうからです。例えば、不登校生徒の場合。
昨日まで集団登校していたから、今日も頑張って集団登校しようとします。しかし、そもそも不登校になった理由が、生まれつき集団行動が苦手なせいだったら?
集団行動は嫌なので、頑張って登校しても、また不登校になります。
挫折する背景には、それまでのやり方に、何らかの欠陥があります。だから、うまくいかずに挫折しているわけです。
大事なのは、そのやり方を変えることです。そして、やり方を変えるためには、一度立ち止まって、じっくり考える必要があります。
では、一度立ち止まって考えるために、何をしたらいいいか?一番シンプルな方法は、「挫折してもいい」と自分に許可することです。なぜなら、挫折は、生存する上で必要なことだからです。
挫折すると、人は行動をやめます。これは、自分を守ることにつながります。
例えば、仕事での挫折。挫折していれば、過労死せずに済みます。出勤しなくなるからです。
平成29年度「過労死等の労災補償状況」(厚労省)によると、過労死の請求件数、決定件数、支給決定件数すべてが前年度を上回っています。非常に痛ましいことです。どうしてこうなってしまったのか?それは、周りの人が、本人に挫折することを許さず、限界以上に働かせたからです。
もしも、本人が挫折し、「仕事に行かない」と決めていたらどうでしょう?救われた命もあったはずです。だから、挫折するということは、生存する上で必要なことなのです。
もう一つ、挫折のメリットがあります。それは、再チャレンジできるようになるということです。不思議なことに、人は、挫折してもいいと考えると、心が安定します。心が安定すれば、またチャレンジできるようになります。その結果、再就職したり、職場復帰したりできます。
現に、私が運営するフリースクールと通信制高校では、不登校の子どもが進学や進級を決めました。もともと生徒たちは、前籍の学校で、登校に挫折しています。
しかし、みんな一様に、入学から6か月以内で、ある変化が見られます。家庭内の会話で「楽しい」という言葉を言うようになるのです。
さらに、学生としても自主性を発揮するようになります。レポートの問題を解いたり、テストを受けたりして、合格点をもらいます。そして、進級に成功しています。
どうしてこんな成果が出たのか?それは、フリースクールが生徒にとって「挫折してもいい場所」だからです。
挫折が許されれば、人は立ち上がれる。この原則に、大人も子供も関係ありません。なぜなら、どちらも心を持った人間だからです。つまり、あなたも挫折をしても大丈夫だということです。
今回は挫折した人が、どうやって立ち直るのかを実例を交えてご紹介します。この記事を最後まで読めば、睡眠時間を短くして頑張っている人が、心が安定して空き時間を作れるようになります。その結果、カフェで友達とお喋りを楽しめるようになります。
〈 目 次 〉
1.なぜ挫折した方がいいのか?
2.やってはいけない挫折のパターン
3.私が7年前の挫折から学んだこと
4.挫折を乗り越えた高校生の秘話
5.挫折を認めて、グッスリ寝られる方法
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