白浜町臨海の北浜海岸に、生きた化石と呼ばれる熱帯性の軟体動物「オウムガイ」の殻が漂流しているのを、京都大学瀬戸臨海実験所職員が見つけた。同実験所の久保田信准教授によると、同町沿岸への漂着・漂流は14年ぶりという。

 オウムガイはインド洋や西太平洋の熱帯海域に生息。原始的なイカ・タコの仲間で、その祖先は古生代(5億4000万~2億5000万年前)に栄えたが、それからほとんど進化していないという。オウムガイの殻内部にはガスの詰まった多数の部屋があり、死んだ後に浮き上がって暖流に乗って運ばれる。このため日本にも流れ着き、串本町―御坊市では二十数例の記録がある。

 久保田准教授によると、今回の殻は8月21日に見つかった。付着生物は見られず、殻の口付近(住房)の破損が少ないことから、何度も磯浜などへの漂着を繰り返さないで同所へ流れ着いたとみている。白浜町付近で最も古い記録は1928年ごろ、エビ刺し網にかかっていたというものが残っている。その後、10年間隔ぐらいで海岸への打ち上げがあり、最近では95年に北浜に打ち上がっている。

 久保田准教授は「過去の記録から10月に最も多く漂着しており、もし見つけたら連絡してほしい」と話している。



【白浜町の海岸に流れ着いたオウムガイの殻(白浜町で)】

(2009年10月03日更新)
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