直径12ナノのタンパク質かご分子: フェリチンが金属を吸込む謎を原子レベルで解明
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2008/090318_1.htm
アスベスト(石綿)吸入による中皮腫や喫煙などによる肺がんが起こる仕組みを、
岡山大の中村栄三・地球物質科学研究センター長らの研究チームが解明した。石綿やたばこ、
粉じんに含まれる鉄が肺に入ると、鉄を含む「フェリチン」というたんぱく質が形成される。
フェリチンは大気中などにある放射性物質ラジウムを集めて蓄積させ、がんを
引き起こすという。28日付の日本学士院発行の自然科学系英文学術誌に論文が掲載される。
これまで石綿を吸入すると、肺にフェリチンが形成されることが知られていた。
研究チームは形成過程を突き止めるため、中皮腫や肺がん患者の手術後の肺切片を
詳しく調べた。
すると、6人の中皮腫患者のフェリチンからバリウム、鉛、カドミウムなどの重金属が
検出された。中でもラジウムは海水中の100万~1000万倍に相当する高濃度だった。
肺がん患者6人でも同様の傾向がみられた。
研究チームは、高濃度のラジウムが出す放射線で強力な内部被ばくが起き、肺組織の
遺伝子を損傷させてがんを発生させると結論付けた。研究チームの
岡部和倫(かずのり)・国立病院機構山口宇部医療センター呼吸器外科医長は
「肺のラジウム蓄積量を調べる技術や、肺のフェリチンを溶かす薬剤を開発できれば、
早期診断や治療につながる」と話している。
*+*+ 毎日jp 2009/07/28[13:25] +*+*
http://mainichi.jp/select/science/news/20090728k0000m040098000c.html
月28日1時17分配信 読売新聞
放射線が細胞のDNAを傷つけることで、悪性中皮腫や肺がんを引き起こすと見られ、新たな治療法や診断法に結びつく可能性があるという。27日、東京都内で発表した。
悪性中皮腫や肺がんの原因のうち、アスベストはとがった繊維の形状が、がん発症に関与すると考えられてきたが、実際の発病の仕組みは分かっていなかった。
中村教授らは、悪性中皮腫の患者から切除した肺組織から、鉄を含んだ直径数十マイクロ・メートルのたんぱく質の塊(フェリチン)を採取。塊に含まれる成分を調べたところ、海水の数百万~1000万倍も高い濃度のラジウムが含まれていることがわかった。アスベストやたばこの煙に含まれる鉄分が肺の中に吸入されることで、フェリチンの生成が促され、体内に極微量含まれるラジウムが濃縮されると見られる。
最終更新:7月28日1時17分