・古賀氏のエゴが背景に
 
 東国原英夫宮崎県知事が自民党の古賀誠選挙対策委員長に、衆議院選出馬の条件に自民党総裁候補にすることを突きつけた騒動から一夜たち、その裏が見えてきた。
 これは自分の選挙が危ない古賀氏のエゴが背景にある。関係者の発言を注意深くチェックしていくと、このことが透けて見えてくる。
 
 古賀氏は福岡7区だが、次の選挙はけして安全圏とはいえない。道路族のドンではあるが、道路建設見直し世論の逆風のなか、いまはそれが昔ほど威力を発揮しない。土建業界の集票マシンも燃料切れで思うように動かないのだ。そこで九州ブロックから東国原知事に出てもらい、その人気にあやかろうというのではないか。
 
 宮崎県の自民党県議は、「事前に総務大臣ポストを東国原知事が要求し、古賀氏もその線で了解して宮崎に来た」とテレビインタビューで話している。ところが来てみてびっくり、総理の椅子を要求されて大騒動になったというわけだ。
 
 総務大臣ぐらいだったら、まっいいか、と踏んでいた古賀氏の足元を東国原知事は見たのだ。東国原知事や昔からの関係者の話を聞いていると総理の座というのは前々から口に出していたことらしい。だが、これは本人の大いなる勘違いだろう。宮崎県知事だって県産品のセールスマンという以外なんの実績もあげていないのに、首相が務まるわけがない。
 
 古賀氏や九州選出の自民党議員や候補者は東国原知事に出てもらったほうがいいのだろうが、こんなことをしていたら自民党全体の信用はガタ落ちだ。もしこれで負けたら自民党は政党としての存在意義が問われる。かねてから自民党をぶっ壊すといっていた小泉元首相にではなく、東国原知事にぶっ壊されてしまうのだ。
 
 東国原知事の国政への意欲は本物のようだが、しかし足元の宮崎県議会の様子を見るとそれも怪しくなる。
 ここで行なわれている、原稿棒読みの東国原知事の冴えない姿はなんだ。
http://www.live-vod-com.co.jp/pref-miyazaki/2_vod.html
 
 これが地元宮崎から日本を変えるという政治家の姿だろうか。副知事の河野俊嗣氏(43)は総務省出身で、宮城県庁、愛知県春日井市など全国の自治体の要職を転々と渡り歩いているような典型的派遣官僚だ。知事の仕事を官僚に丸投げしておいて総理大臣になりたいはないだろう。
 
 いま問題になっているのは霞ヶ関支配ではないのか。霞ヶ関からコントロールされているようでどうして地方の独立があるのだろうか。表で言っていることと裏でやっていることが逆だ。マスコミもこの点にまったく触れないでいるから話がおかしな方にいっている。
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(記者:奥秋 昌夫)