猫の童話集⑪
その…なもなきねこはうまれてすぐにひとりぼっちになり やぶのなかをさまよっていました。おかあさんともはぐれ ひとりさまよっていました。「あれみてください。おつきさま。」やがてしずみゆくおひさまがこちらへむかうおつきさまにつたえたのです。なもなきねこは みーみーとないています。おなかがすいたのです。さむいのです。のどがかわいたのです。さみしいのです。「あらいけません。こねこさん。」おつきさまはそうおっしゃって ほそく しろく あかるく うつくしいひかりを こねこのあたまいっこぶんまえにおとします。「それあんしんだ。おつきさま。」おひさまも こねこがよなかじゅうからだをひやさぬための あたたかいねつをなげかけ ゆっくりしずんでいきました。なもなきねこは体がぽかぽかげんきになってひかりにじゃれます。おつきさまの じひぶかいひかりです。「さあいらっしゃい。こねこさん。」おつきさまはくすくすわらいほそく しろく あかるく うつくしいひかりを なもなきねこのさきへさきへと うごかします。なもなきねこはえいっ!と、けっしてつかまえられないひかりをおいつづけます。やぶからさとへ さとからみちへ みちをつたって ちいさなまちへと ほそく しろく あかるく うつくしいひかりがなもなきねこをみちびいてゆきます。そしてとうとうであったのですにんげんにねこははじめてにんげんをみました。ぜんぜんこわくありません。そのひとは「まあよかったあかるいよるで…あなたをみつけられたもの。」そういいながらふしぎないろのおつきさまをみあげて なもなきちいさなねこを しっかりだきしめたのです…。よくじつ。ひがしのそらをぐいぐいのぼるやさしいおひさまがいいました。「まあみてください。おつきさま。」そこにはあたらしいかぞくたちにあたらしいなまえでよばれたくさんたくさんかわいがられるあのこねこがいたのです「るな」「るな、どこにいるの」「るな、おいで」「お母さん、るなは?」るな…るな…るな…るな…そのすがたをみとどけおつきさまはおじょうひんにわらいにしのそらへとしずんでゆきました。おひさまもまたちからづよくこうごうしくかがやたのちにさあほかのちいきでは こまったことはないかなとぐるるんおくびをまわしたのですこんなふうにおひさまとおつきさまはいつもどこかでちいさなおおきなちいさなおおきな…ふしぎなきせきをおこしているんですよ。「やぶからきたよ なもなきこねこ」(未刊)出演:るな@月箱