（きのうからのつづき）
オレンジごうにのり…
みけねこがきたのは
さばくのような なにもないところ
みけねこさん…
みけねこさん…
と ふしぎなこえが するばしょです
たくさんのひかりが みけねこをとりまきます
こんにちはみけねこさん
と オレンジのぽーっとした ひかりがいいました
ようこそいらっしゃいました
と しろくろの ひかりがいいました
よくみると みなひかりのおくに
あかちゃんねこのかおをがみえます
むこうからも しろやくろやはいいろの
たくさんのあかちゃんねこのかおをした
いろいろなひかりが とびはねてきます
かしこいみけねこは さとります
このこたちは
これからよにうまれでようする
ねこたちのたましいなのだと…
そうかんがえると
みけねこのともだちのすがたが
あたまにうかびます
みけねこはいま
きっとあのともだちのようになるであろう…
これからうまれでる ちいさなたましいと
おはなしをしているのでした
それはとても すてきなことだとおもいました
そうだよみけねこさん
ぼくたちこれからうまれるの
わたしたちこれからうまれるの
すると なかにいっぴきだけ
みんなよりはるかにちいさい
おれんじのひかりがじーっと
みけねこをみているではありませんか
そのひかりは
オレンジと くろと しろと…
みけねこのちちである
キジトラのけいろがまざり…
いまの じぶんのけいろと
そっくりだったのです
もしかして…
みけねこは そのチビチビみけを
じっくりとみつめました
そうなの わたしは あなた
あなたは わたし わたしは
じゅうななねんまえのふゆにやどった
あなたのいのち…
チビチビのひかりは
みけねこを あたたかくつつみます
これこそが！
ねこがみさまが
みけねこにみせたかったきせきなのだと
このとき みけねこはきづいたのです…
みけねこは うまれてから
にんげんにひろわれるまで…
くうやくわずで くらいみちをさまよい
どうやっていきてきたのか
あまりよく おぼえていません
でもいま このチビチビをみていると
あのときからこれまでのことを
だいすきなにんげんにであえたことを…
とってもすてきな そして
たいせつなことだとおもえるのです
かえろう おうちに…
みけねこはチビチビをなでました
しかし…そのとき…
チビチビをよくみると ほかのチビにはない
まっくろなけむりをはく ふきつなたまが
くっついていたのです！
チビチビは えがおでいいました
これは びょうきだよ
わたしは びょうきをもってうまれるの！
（つづく）
「せいやにともるいのちのひ（未刊）」より