あるところに…
はいいろのけのねこがいました。
はいいろねこは
ゆめみのとうにのぼるのがすきでした。
ゆめみのとうというのは
ゆめやきぼうがかなえられるいう
ふしぎなとうのことです。
ゆめみのとうであることをねがいます。
はいいろねこのあとは
ふさふさのけのねこがきます。
ふさふさねこも、ゆめみのとうがだいすきです。
はいいろねこがとうにいるあいだ、
いつもしたでまたなければなりません。
するとおひるねのじかんが
みじかくなってしまうのです。
「はいいろねこなんかいなくなればいい」
ふさふさねこは、そうねがいました…。
そのよる…
ふさふさねこはびょうきになって
ねこんでしまいました。
つぎのひも、そのつぎのひもです。
ふさふさねこのびょうきをしった
「わたしはこれまで
じぶんのゆめがなかったから
はやくゆめがみつかりますようにと
ねがっていました。
いまやっと
そのねがいがみつかりました。
どうかふさふさねこの
ねがいをかなえてください。
どこからか
ふしぎなこえがきこえます。
『ふさふさねこのねがいをかなえるのが
おまえのねがいか』
はいいろねこはじっとめをとじ
こころのなかでいのります。
「はい。ふさふさねこのねがいをかなえてください」
ふしぎなこえは
さっきよりもおおきなこえでといかけます。
『ほんとうにそれでよいのか』
「はい」
『みたびきこう。ほんとうにいいのだな』
「はい」
たつまきがおこりました。
ゆめみのとうがはげしくうちふるえます。
そして…
ふさふさねこはきゅうにげんきになりました。
さっそくおみずをのみ、ごはんをたべ、
だいすきなゆめみのとうにでかけます。
すると、ゆめみのとうのなかから
ふしぎなこえがきこえます。
『はいいろねこがおまえのねがいを
かなえてほしいとつよくねがったから
ねがいをかなえてやったぞ!』
ふさふさねこはおどろき
そしてあわてて
ゆめみのとうにねがいました。
「もうにどとあのようなことはねがいません。
もういちどだけねがいをかなえてください。
はいいろねこをもどしてください。
おねがいします!」
ゆめみのとうはこたえません。
ふさふさねこは、なきながらねがいました。
「どうかはいいろねこをここに…」
ゆめみのとうはしずかなままです。
ふさふさねこはさらにつよくねがいました。
「おねがいします。ここにもどして!」
すると…
”ふさふさねこさん”
………
はいいろねこがあらわれたのです。
ふたりはだきあっておおなきしました。
はいいろねこもおもず
もらいなきをしてしまったのです。
するとゆめみのとうが
けっけけっけとわらいます。
『ちょ~っとふさふさねこをおどかそうとおもい
はいいろねこをかくしとっただけじゃ。
ば~かば~か』
それからゆめみのとうは、にどとしゃべりません。
ねがいもかなえません。
でもここにすむねこたちは
あれからなんびゃくねんたったいまでも
ゆめみのとうをおそれています。
どんなねがいでも
ほんきをだしちゃえば
がっつりかなえちゃうすんごいちからを
もっているからです。
え?あのあと?
そうそう…
はいいろねことふさふさねこはともだちになり
まいにちいっしょにあそぶようになりました。
ひるねもいっしょです。
そして…
しあわせなひびをおくったあと
はいいろねことふさふさねこは
もうしわせたように…
おなじひになくなりました。
おはかもいっしょでした。
「ゆめみのとう(未刊)」より
出演:アン&タキ@ねこJaLaLa秋葉原本店