BOOKデータベースより

「若き女性調査官がひたむきに奔走する新シリーズ第1作!

少年犯罪、貧困、毒親、虐待、障害……様々な理由で問題を起こし、

家裁を訪れる少年少女や保護者たち。
少年係調査官である庵原かのんの仕事は「臨床の専門家」として、

彼らの“声なき声”に耳を傾けること。
家庭や学校、社会が抱える問題にぶつかりながら、

かのんはどんな人間に対しても諦めず、生きる力を信じて正面から向き合う――。

一人の若き調査官を通して〝家庭〟の在り方を問い、救済を描く感動作!

「海外ドラマのようにずっと付き合いたい物語と人物展開。あたたかく力強い人生讃歌がある」(書評家・池上冬樹)

「一般的に家庭裁判所は馴染みがなく、敷居が高いところですよね。普通は行きたいとは思わない場所です。

でも、事情があって訪れた当事者たちのことを親身になって考え、

人の心に触れて、真実を導くために働いている人たちが家裁の中にはいるのです。

どんな人とも同じ目線で話せる人間力を持ったプロ、それが家裁調査官。

そんな人間臭い、人間らしい人たちがいることを知って欲しいです」(著者)」

 

長いこと待って、予約の順番が回ってきました。図書館本です。

現在の社会に横たわっている、社会問題を乃南アサらしい巧みなストーリー展開であぶり出していく、そんな作品です。

連作短編の形になっていて、一話でも完結するけど、

ある短編で提示されていた謎が、別のところで解決に

というところもあるし、謎は謎のままだったり、解決とはならなかったり。

家庭裁判所の調査官の方々は、たくさんの事件を持っていて忙しいし、

頻繁に日本全国を移動しなければならないし

最後まで責任をもって、見守ることができないのは事実で。

切ない気分にもなります。

シリーズ化もありそうなので、次作に期待ですかね。

 

 

あと、少年付添人となる、弁護士の描き方が、何だか一面的でちょっと残念でした。

無職少年が更生できるように、就職先を見つけてきたり、

妊娠してしまった少女の赤ちゃんの今後をどうするかを決めてきたり、

地域に根付いている弁護士だからこそ、家裁調査官と違ってできることも描いてくれてても。