BOOKデータベースより

「愛は戦いじゃないよ。愛は奪うものでもない。そこにあるものだよ。

たいせつなひとの死、癒えることのない喪失を抱えて、生きていく――。

凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、

南国の緑濃く甘い風吹く台北で。

今日もこうしてまわりつづける地球の上でめぐりゆく出会いと、

ちいさな光に照らされた人生のよろこびにあたたかく包まれる全6編からなる短篇集。」

 

夢の中

SINSIN AND THE MOUSE

ミトンとふびん

カロンテ

珊瑚のリング

情け嶋

 

流石のばななさんでした。

特別な事件が起きるわけではないのですが

読んでると満ち足りた気分になってくる。

昨年、父が亡くなりました。

母は90代で、一緒にいられる時間も長くはないかもとは思うようになりました。

どの短編にも、大切な人が亡くなった喪失感が描きつつ

心の通じ合う誰かとの出会いだったり、

大切な人との思い出を改めて分かち合う出来事だったりが

静かな筆致で描かれてて。

吉本ばななさんの作品は、久しぶりに読みました。

本の装丁も美しい。

幸せな読書体験でした。