BOOKデータベースより

「朝霞、新座、志木―。

家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。

元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。

須藤とは、病院の売店で再会した。

中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。

50年生きてきた男と女には、

老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。

心のすき間を埋めるような感情のうねりを、

求めあう熱情を、生きる哀しみを、

圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。」 

 

切ない。。。切なすぎて、(冒頭に結末が分かってしまうので余計に)

読み続けたいけど、ラストにたどり着きたくなくて、

しばらく、他の本を読んで、目をそらそうとしたり。

私は恋愛小説が好きではないし。

特にいま恋愛をしているわけではないのですが、この作品には、やられました。

 

お互いを、姓の呼び捨てで「青砥」「須藤」と呼び合う二人。

言葉遣いも、いかにも女性とか、男性とかな感じではないので、

読んでても、しばらく、どちらの気持ちを書いているのだろう、と疑問に思ったりするのですが、それもきっと、作者のたくらみのような気がします。

読者に、このざわざわとした気持ちにさせることで、胸をギュッと掴まれるような気持になる。

恋愛感情だけではなく、病気のこと、パートなどの仕事のこと、リアルすぎる。