BOOKデータベースより

「今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、

質の悪いトラブルメーカーだった。

解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、

経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。

折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。

人の心の陥穽を圧倒的な筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。」

 

ストーリーの巧みさ、ミステリーの完成度にも舌を巻きましたが

あらためて,宮部みゆきさんの筆力の凄さを思い知らされた感じです。

ちょっとした日常の中の(誰にでもあるような)違和感を,掬い上げて

表現できる。

様々な立場の人の「無念な思い」(←一言で言えば,そうなのですが)を

文章で実感させられる。

告白に至ったとき(犯罪とかその周辺とか)のその人や受け取った人の表情を

的確な比喩で表現できる。

 

杉村三郎シリーズの,第一弾の「誰か」が,なぜかいま一つに感じられたので

その後のシリーズを読んでいなかったのですが,「希望荘」があまりに良かったので

遡って,第2弾を読んでみました。