BOOKデータベースより

「今多コンツェルン会長の娘である妻と離婚した杉村三郎は、

愛娘とも別れ、仕事も失い、東京都北区に私立探偵事務所を開設する。

ある日、

亡き父が生前に残した

「昔、人を殺した」という告白の真偽を調べてほしいという依頼が舞い込む。

依頼人によれば、父親は妻の不倫による離婚後、

息子との再会までに30年の空白があったという。

はたして本当に人殺しはあったのか――。
表題作の「希望荘」をはじめ計4篇を収録。

新たなスタートを切った2011年の3.11前後の杉村三郎を描くシリーズ最新作。
『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に続く人気シリーズ第4弾。」

 

久しぶりの宮部みゆきさんです(たぶん)。

杉村三郎シリーズは,「誰か」「名もなき毒」は読んだ覚えがあるのですが

コンツェルンの娘と結婚したという日常とかけ離れた設定ゆえか,なんとなく入り込めずにいたのですが。

これは,素晴らしかった。

連作中篇になってますが,どれも素晴らしい。

読み始めると止まらないし,

それでいて読み終えると心にずっしりと残る。

特に,表題作の「希望荘」最後の「二重身」が流石です。

小市民の小さな悪意が,ちょっとしたきっかけで。。。というような恐ろしさも伝わってきつつ。

下町人情みたいな部分も残しつつ。