都市近郊の2車線道路橋を新設する工事において、高さ15mの張出し式橋脚3基のコンクリート工の施工計画を策定することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。なお、橋脚のコンクリート量はフーチングが270m3/基,梁・柱部が230m3/基であり、梁・柱部は鉄筋が密な構造となっているものとする。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 

■回答

1.調査、検討すべき事項とその内容

(1)コンクリート品質確保

 本工事はフーチング、梁・柱部合わせて1500m3((270+230)m3/基*3基)とマスコンクリートである。大量のセメント量が必要となり、セメントの水和熱による温度上昇、それが降下する際体積が変化することによる温度ひび割れに対策を検討する。

 そのほか、かぶり長不足による剥離・鉄筋露出を防止するため、コンクリートの配合設計、生コン工場選定、現場巡視方法、鉄筋工、型枠工、支保工、運搬、・受入れ、打込み、締固め、再振動、打継、仕上げ、養生等の品質確保対策を検討する。

(2)周辺環境

 本工事の施工場所は都市近郊である。近隣の通勤、通学、生活環境への悪化など、周辺環境を調査し、影響を抑制に向けた周辺環境対策を検討する。

 具体的には、病院、小学校、中学校、高校、主要な産業施設等の位置、通勤・通学時間帯、交通量、騒音基準等の土地利用を調査する。調査結果を踏まえて、アジテータ車などの運搬車両の移動を含む施工にあたって発生する騒音、振動、渋滞などの対策を検討する。

2.留意点、工夫点を含めた業務を進める手順

手順1:事前調査

 上記1の内容に加え、施工にあたっての第3者被害防止対策を含む安全対策、工程管理、実行予算管理に関する情報を調査する。

 机上情報だけでなく、必ず現地調査、関係者のヒアリングを実施し、最新情報の収集は手を抜かない。

手順2:施工計画策定

 手順1で得られた情報を施工計画としてとりまとめる。労働災害防止、働き方改革等も考慮のうえ、コンクリート工の規格の標準化として、プレキャスト製品の活用も検討する。高所作業での型枠工、鉄筋組立工が減らせるためである。

手順3:計画説明及び意見反映

 計画は施工関係者、地域住民などにも説明し、意見のあった内容を確認し、必要に応じ計画に反映する。

 AR等のデジタル技術を用いた視覚支援により、専門性の低い地域住民にも理解しやすい説明を行う。

3.関係者との調整方策

 本業務は梁・柱部は鉄筋が密な構造であると同時に、都市近郊部という施工条件により十分な施工スペース、工程が確保できない恐れがある。

鉄筋のかぶり長不足による剥離・鉄筋露出は、道路利用者の人命にかかわる最重要事項のため、与えられた施工制約を考慮したうえで、要求された品質は確実に確保できるよう調整する。

具体的には、鉄筋工などの下請業者への施工計画の共有徹底や、BIM/CIMの活用による詳細な工程検討を行っておくことである。       以上

 

■自己評価

これは自信作です。

特に、3のリーダーシップがお気に入りです。

利害関係者は、ユーザーである道路利用者VS鉄筋工などの下請業者で、施工制約から下請企業は品質を下げようとするので、予め計画の精度を高め、業務を進める。