既設市街地内の幹線道路下で、新駅工事(延長200m、幅約25m、深さ約20m、掘削土総量約10m3・沖積土層)が開削工法(ソイルセメント柱列式地下連続壁工法)により計画されている。

 本工事の掘削は約1年間で完了し、発生土は道路や河川堤防事業等の他事業に搬出・再利用する計画となっているが、受入れ先の状況・条件に合わせた適切な搬出計画とする必要がある。

 以上を踏まえて、本工事の担当責任者として、発生土の処分に関する業務に当たり、以下の内容について記述せよ。

 

(1)検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち業務の特性を踏まえて重要なものを2つ挙げ。その内容について説明せよ。

(2)業務の手順を述べた上で、業務を管理する際に留意すべき点、工夫を要する点について述べよ。

(3)業務において必要な関係者との調整事項を1つ挙げ、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 

■回答

1.重要な検討すべき事項

(1)発生土の土質改良方法等

 本業務は既設市街地内の幹線道路下における開削工法である。この特性を踏まえ、開削工法により発生する本工事の掘削エリア毎の土質条件による土質評価、土質改良方法(改良プラントにおける石灰、セメントによる安定、天日乾燥による脱水、ふるい分けによる粒度調整など)、ストックヤード(仮置きヤード)を検討する。

(2)受入先における受入条件

 本業務は発生土を道路や河川堤防事業等の他事業に搬出・再利用する計画である。この特性を踏まえ、受入先の候補箇所数、候補箇所毎における受入規模、受入可能時期・時間、本工事の施工箇所からの運搬距離、運搬ルート上の制約条件、受入可能土質条件(N値、粘着力、含水比、単位体積重量、せん断抵抗力等)を検討する。

2.業務手順と留意点・工夫点

(1)業務手順

手順1:事前調査

 上記1の検討事項について、本工事の現地踏査や受入先の現場責任者とのヒアリングにより、事前調査として、情報を整理し再生資源利用促進計画等にまとめ、工事関係者で共有する。

 発生土に廃棄物が混ざっている場合は、廃掃法に基づき、適切に分別・処分するように留意する。

手順2:搬出計画策定及び実行

 建設発生土の搬出計画を策定し、搬出時期、搬出場所、搬出量、受入先の責任者、対象土質条件をまとめ計画を策定し実行する。

 計画策定にあたっては、受入先の情報を効率的に収集できるよう建設発生土マッチングシステムを活用するよう工夫する。

手順3:搬出計画における実績の記録・保存

 計画の実施状況を把握して記録し、受領書の写しと合わせて5年間保存する。発注者から請求があった場合は、報告する。

3.関係者との調整事項とその調整方策

(1)関係者との調整事項:

 地域住民との土砂の搬出における騒音・振動・渋滞対策を調整事項とする。

 既設市街地内の幹線道路下における1年間という長期間工事のため、近隣住民の生活環境への(騒音・振動・渋滞の)悪影響が大きい。

 調整方策は、事前に、地域住民の負荷が大きい時間帯や搬出ルート、過積載防止対策、土砂仮置きヤードの周辺の覆い設置などの住民の影響緩和計画を作成し、地域の代表者と協議し、理解を得たうえで、搬出を実行する。トラブルがあった場合は、適宜計画を見直し、関係者との調整を図り、理解を得て再開する。

 

■自己評価

これは自信作です。

難しいことは書いていませんが、発生土のこと、受入先のことを両方考えて業務を進めるというポイントが反映できたと思います。

1章では、15個くらいのキーワードが盛り込めていますし、2章では、システム活用による効率化などの時事ネタも盛り込んでいますし、3章は市街地でのあるあるの問題をできるだけ緩和する対策に取組ながら、業務を進めるというのはリーダーシップと評価される気がします。