1.建設現場での週休2日を確保するための課題

(1)i-constructionの更なる推進

 建設現場では、工期内に工事完成が求められるため、天候の影響や施工現場の不測の事態が生じた場合、休日返上で対応せざるを得ない状況である。

 これは、建設生産システムが「一品受注生産」、「現地屋外生産」など、人手に頼った「労働集約型生産型」となっていることが要因である。

そこで、生産システムの観点から、労働集約型の生産体制から脱却したi-constructionを更に推進することが課題である。

(2)労働災害防止の徹底

建設現場には多くの危険が潜んでおり、一度、労働災害が発生すると現場の一時閉所や関係資料作成、負傷した労働者の業務補填が発生し、労働者全体のリソースに制約があるため、休日返上で働く必要が生じる。

 このため、安全の観点から新規参入者安全教育の充実などいかに労働災害防止を徹底するかが課題である。

(3)ウィークリースタンス実施体制の構築

建設現場は、適宜実施される発注者との協議を踏まえて、段階確認を行いながら、施工工程を進める必要がある。しかし、協議資料や要求される提出書類が膨大にあり、これらの書類作成業務が技術者の負担となり、休日を返上し対応が必要である。

そこで、負担配慮の観点から、金曜日依頼や月曜日〆切禁止など週休二日実現に向け、いかにウィークリースタンス実施体制を構築するかが課題である。

2.最重要課題と解決策について

(1)最重要課題

「i-   Constructionの更なる推進」が課題である。

なぜなら、この課題が最も資金・人員制約への貢献

が期待でき、様々な問題を解決できるためである。

(2)解決策

 解決の方向性:トップランナー施策が取組始められているが、より質を重視し、強力に推進する。具体の解決策は以下のとおりである。

解決策1:ICTの更なる活用

 従来手法のレベル等による測量、設計図から施工土量算出、丁張設置、施工、検測と施工の繰り返し作業、書類検査では人手が多く発生する。

そこで、ドローン等による3次元測量、このデータによる設計・施工計画、ICT建設機械よる施工、書類削減による検査により、省力化を図る。

 さらに、AIやシステムを活用して自動的に施工計画を策定し、施工の自動化により一人のオペレーターが複数の建設機械を遠隔で管理する手法を積極的に採用する。

解決策2:全体最適の更なる推進

 従来の現場毎の一品生産、部分別最適設計では、設計、発注、材料の調達、加工、組立等の一連の生産プロセスでは無駄や生産性が低い場合がある。

そこで、コンクリート工の規格の標準化などによりコスト削減や生産性の向上の取組を推進する。

さらに、デジタル化、ペーパーレス化によりデータ連携を加速し、これまでの部材干渉チェック、景観検討、2次元図面の理解補助などの3次元モデルの視覚効果による活用にとどめず、IoTやデジタルツインも併せて採用し、見える化を実現する。

具体的には、建設現場のリアルタイムな工程改善や作業と監督検査の効率化等にも取り組む。

3.新たなリスクとそれへの対策

(1)新たなリスク

熟練技術者が建設現場で思考錯誤しながら得たノウハウや勘といった専門技術は、OJTにより技術継承を行ってきたが、解決策実行後は、これらの機会が減少し、若年技術者への技術継承にあたり支障が生じるリスクがある。

(2)技術継承にあたっての支障への対応策

ノウハウや勘という暗黙知を形式知に変換し、技術の見える化を図る。

そのうえで、OJTとOFF-JTを体系的に組合せた人材教育とするナレッジマネジメントを導入する。

さらに、人材教育では、AR,VRなどのICT技術を活用した人材育成を積極的に行う。       以上