住宅が密集する市街地において鉄道新線建設(効果構造、下図参照)が行われており、このうち延長500mの工区の下部工工事(主に20m間隔で橋脚を設置、1基当たりの基礎と橋脚の合計体積は310m3、杭の体積は役210m3)を実施することとなった。

 なお、この工区に接している公道は、工区の両端で交差している指導(計2本)のみである。

 また、鉄道用地の両側には、工事で使用可能な用地(約4m、開業後道路として使用予定)が併設して確保されている。

 以上を踏まえて、本工事受注者の担当責任者として以下の内容について記述せよ。

 

(1)効率的な施工をするために検討すべき事項(関係者との調整事項は除く)のうち、本工事の特性を踏まえて重要と思われるものを3つ挙げ、その内容について説明せよ。

(2)本工事において、責任者として工程管理をどのように行うのか、留意点を含めて述べよ。

(3)関係者との調整により決定される本工事での施工条件を一つ挙げ、調整方針及び調整方策について述べよ。

 

■回答

1.効率的な施工に向けた検討事項

(1)軟弱地盤対策

 掘削深約3m、場所打ちRC杭設置予定の特性がある。現地地盤は軟弱地盤が想定されるため、柱状図、周辺地盤の地耐力、地下水位を確認し、基礎部分の土質改良工やRC杭の掘削底面の地盤改良、地下水位低下対策の要否を検討し、不測の工程遅延を防止する。

(2)施工ヤード配置計画

 鉄道用地の両側に工事で使用可能な用地幅員約4mの制約特性がある。このため、施工工程に沿って、資機材、重機、掘削土等の配置、土砂運搬トラック、アジテータ車の待機場所も検討し、効率的な施工ヤード配置を計画する。

(3)コンクリート打設方法

 フーチング及び橋脚がマスコンクリートとなる特性がある。このため、コンクリートプラントの立地、生産能力、アジテータ車保有台数、品質管理対策の徹底により打設後に温度ひび割れ発生による手戻りや補修作業のリスクを低減させる。

2.工程管理をどのように行うのか。

(1)全体工程計画の共有

 500mの工区を主に20m間隔で橋脚を設置する大規模工事であり、施工に関わる関係者が多いとさてされる。このため、各工区における工種の工期を設定し、クリティカルパスを明確にした施工計画とし、施工関係者で共有し、クリティカルパスの工程を最重要し、リソース配分を行う。

(2)コンクリートの打設計画

 1基あたりの基礎と橋脚の合計体積は約310m3と打設量が多いため、打設の待ち時間なく、行えるよう計画する。コンクリート運搬時間を考慮し、コンクリート練り混ぜ完了から打設完了までの時間が短くなるようにアジテータ車の台数とピッチ間隔を調整する。

(3)隣接工区との連続施工

 20m間隔に橋脚を施工する工事であるため、掘削工は1工区の施工完了後は速やかに隣接工区に移動し、掘削を行う。各工種が工区をスライドさせ連続作業を行う工程管理を行うことで工期短縮を図る。

3.調整方針及び調整方策

(1)施工条件:各工区の施工時期

調整方針は住宅が密集するため、「施工に関して事前に周辺住民の合意を得ること」が必要である。調整方策は調整方針に基づき、「リーフレットの配布や工事の見える化、騒音振動対策」の実施により、地域住民の合意を得て実施する。

(2)施工条件:工事用車両ルート選定

調整方針は第三者の安全を最優先とし、工事用車両ルートを生活用道路や通学路等を避けたルート設定。調整方策は短時間での住民と合意形成のために、CIM、VRを用いた視覚的資料により住民説明会を開催する。

 

■自己評価

施工計画は、他の科目よりも、コンピテンシーの表現が強調されており、難しいですね。

マネジメントも、留意点がメインなので、知識がないと太刀打ちできません。

勉強にはなります…。

それにしても、こんな大規模な工事を経験している受験者は何割程度なんでしょう。

現場のイメージをするだけで、ひとくろうです。