【ネタバレ】最近見た映画【新感染】【悪魔のいけにえ】 | そうでもなくない?

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その1

 

 

化学工場のアクシデントが原因で、何らかのウィルス?に感染すると人を襲う化物になってしまう、というパニック映画。ゾンビもの。

化物に噛みつかれるとあっという間に感染してしまう。感染力が凄まじい。一晩どころか、数時間でソウルが壊滅するほどの威力がある。

主人公たちは、街のパニックに気づかず特急列車に乗るのだが、出発間際、ひとりの感染者が列車に迷い込む。乗客の運命やいかに…。

 

というように、とにかく凄まじい数の感染者が登場する。列車が通過する駅はすべて感染者にあふれ、彼らは健常者を目視すると襲いかかってくるので、列車の外から窓を破って入ってこようとする。列車内も当然パニックで、それをどう乗り切るのか、乗り切れるのかが物語の中心。

その描写は圧倒的で、千人単位の感染者たちが全力疾走で追いかけてくる。感染者が感染者をなぎ倒して、大群となって押し寄せてくる。渋谷のスクランブル交差点、歩行者用信号が青になったので渡ろうとしたら、通行人全員が襲いかかってくるのを想像して欲しい。それがこの映画だ。

 

しかし、この映画の評価が高い理由はその映像だけではない。パニックに陥ったときの人の弱さ、身勝手や横暴が描かれているからだ。登場する悪者は成人男子、しかもいい歳で地位や責任がある者。年寄りや若者、子どもを犠牲にして自分だけ助かろうとする。その不快な立ち振舞は清々しいほどムカつくw 逆に、勇気や愛の力で困難を乗り越えようとする者たちもいる。

 

一歩引いて眺めると、それは震災など有事の際に垣間見える人々の姿だ。実際に僕らは体験している。あの時、身勝手な方も立派な方も、いろいろな人間模様があった。

100人余の感染者がガラスの壁を突き破って押し寄せるさまや、炎に包まれた車両が脱線して飛んでくる中にすし詰めの感染者がいるシーンなど、破壊力のある映像はもちろん評価されるべきだが、その時人間はどうするか?その姿が描かれるところこそ、本作品の醍醐味だろう。

最後までやさしい心を失わなかった幼い娘、年老いた姉の憐れな末路を捨て置けなかった妹、愛しい妻と生まれてくる子どものために命をかけたビッグダディ、そして物語の中で本当の愛を取り戻した父親。

最後の最後まで目が離せないこの映画、ホラーと言ってもそんなに刺激的な描写はないので(人が生きたまま食べられちゃうくらい)、苦手な人もだいじょうぶ。時間があればご覧ください。

 

 

その2

 

 

 

やっぱ、ホラーファンを自称するなら、伝説の作品は観ておかなくちゃ。ってか、観てなかったのかよ!とお叱りを受ける前に鑑賞。

ひとことでいえば、この映画は『伝説』。1974年の作品でありながら、まったく色あせてない。

もちろん、スプラッターというジャンルが確立されてからその描写は年々凄まじくなり、いかにそのシーンを残虐に表現するか、何リットルの血が流れたか、がいまは評価の分かれ道になるほど。そういう尺度でいえば、本作品は物足りないかもしれない。しかし、この映画の魅力はその迫真性にあると感じた。いうまでもなく、この作品はエド・ゲイン事件が参考にされたという通説がある。監督は否定も肯定もしていないが、家の中の家具などを見る限り、何らかの影響を受けていると言えるだろう(よい意味で)。

 

殺害シーンは思ったほどあっさりで、正直拍子抜けした。チェーンソーを振りかざしたレザー・フェイスが女を追うシーンは果てしない長回し。テンポが悪い。材料を加工して料理したり、家具を作ったりするシーンも見当たらない。捕らえられた女を嘲笑し続けるシーンは意味があるのか。

しかし、逆にそれらが妙な迫真性を醸し出している。粗い映像もあいまって、フィクションではないかと脳が錯覚する。実際にあった事件ならば、それは己の隣にいつ出現してもおかしくない。それは恐怖だ。見知らぬ隣人の恐ろしさは、当時より現代のほうがリアルだ。

カメラワークもよい。低予算で作られたゆえか、はたまた天才トビー・フーパーのもたらす技か、斬新な映像がここそこに現れる。CG全盛の今だからこそ、原点に立ち返り参考にすべきと思う。

 

さらに素晴らしいのが芸術性。死体を用いた調度品やオブジェの数々。美を理解するものでなければ生み出すことができない仕上がり。

さらにさらに、エンディングで映し出されるレザー・フェイスのダンス。朝焼けに包まれて刻む美しいステップは、なぜこれが必要なのか?常人には理解できないシーンとして後世に語り継がれている。

 

というわけで観て良かった。面白かったし、そういう枠を越えてホラーファンとしては鑑賞必須と感じた。この春、最新作が公開されるという。実は、それも後押しとなった。最新作はレザー・フェイスの誕生秘話らしい。それもぜひ観に行きたい。