あとがきと解説、読まなきゃよかった…
小説版「君の名は。」、読了後の率直な感想だ。
先月、遅ればせながら映画を観た。大ヒットしてるのは知ってたし、面白そうだなとは思っていたが、積極的に観に行こうとは思ってなかった。なにしろ、映画館での年間鑑賞数が平均「1」の男である。今年はすでに3本も観ている。観すぎである。次男が親に映画鑑賞代たかろうと、普段は見せぬ少年らしさ(もう高1ではあるけれど)を披露しなければ、この記事を書くこともなかったろう。優先順位はその程度。
とはいえ、観た。というより面白かった。と、思う。
映像はきれいだし音楽も美しい(前前前評判通り)。入れ替わりの設定もありきたりではなく、仕掛けの一部としてあるというのが新鮮だった(この時はそう思ってた)。
でも…みんなが口を揃えて称賛するような、史上最高傑作だ!とは思えなかった。
なぜか。考えた。思い当たるひとつは、前評判が高すぎて期待値のハードルを上げすぎてしまったのではないか、ということ。流されやすい自分だから。
もうひとつは、この物語の伝えたいことがわからなかったこと。恋の物語?らしいんだけど…自分、慣れてないからかなぁ。いや、恋にじゃなくて。いや、恋にも慣れちゃいないけど。ラブストーリーにね。慣れてない。
後日、みんなに聞いて回った。モヤモヤを晴らすため。君の名は。観た?面白かった?何がよかった?意外と賛否両論。ちょっとびっくり。大絶賛かと思ってたから。
で、ますますわからなくなったので、「小説版『君の名は。』」を読んでみた。会社の後輩(引きこもり系アニヲタ女子)は2回観て理解したって言ってたけど、僕は活字から本質を拾い出そうと試みた。
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結果、読んでよかった。ただの恋愛ものではなかったとわかった。この物語の言いたいこと、それは「もがき苦しんで、あたりまえに生きる尊さ」。
「でも、俺は今ももがいている。大袈裟な言い方をしてしまえば、人生にもがいている。かつて俺が決めたことは、こういうことではなかったか。もがくこと。生きること。息を吸って歩くこと。走ること。食べること。結ぶこと。あたりまえの町の風景に涙をこぼしてしまうように、あたりまえに生きること」
P246の瀧の台詞。糸守を救うため、みつはを救うためもがき苦しんだ瀧。重みとそれでいて爽やかな尊さがある。
この物語をどういう視点で観るか、どう自分の価値観と照らし合わせるかは人それぞれ。だから、時空を越えたふたりの恋愛に胸ときめかせる人もいれば、ファンタジー要素に驚く人もいるだろう。奥寺先輩にズギュゥンされちゃった人もいるに違いない。
残念ながら、人と違うことに価値を置く世間とずれたヘンナオジサンな僕は、恋愛よりも「もがき苦しむ尊さ」がこの物語の本質と感じた。このことは小説のクライマックス、本当に終わりの方に書かれている。そこにたどり着くまで、とても大変だった。なにしろ、話の展開はわかってるし本質を探しながら丹念に読んだものだから、ものすごく疲れたw 登場人物の台詞に神木や上白石の声がかぶさってくるしwww
だから、その一文を目にしたとき、もーめちゃめちゃスッキリした。
キタ━(゚∀゚)━!って顔してた。やっぱ傑作!って思った。そこにたどり着くまでずーっとモヤモヤしてたから。
そして、物語は終焉を迎え、余韻を残したままあとがきに突入しそこで目にしたのは、作者の「大切な人や場所を失い、それでももがくのだと心に決めた人(中略)別の切実さで語られる必要があると感じてる」。だよね!ですよね!やはり僕の感覚は間違ってなかった。
キタ━(゚∀゚)━!
さらにプロデューサーの解説にも「ひとは大切なことを忘れていく。けれども、そこに抗おうともがくことで、生を獲得するのだ」と!。いいねいいね!
そこでふと気づく。このこと、自分発見しました!って世間に向かって叫びたいのだけれど、「あとがきと解説の受け売りデショ( -д-)」って思われちゃうじゃん!ただの知ったかぶりじゃん!!!
あとがきと解説、読まなきゃよかった。でも、僕が読もうが読むまいが、そんなこと知らない世間の評価は変わらない。なら、読んでよかった、と思おう。
そして、それでも、僕のカタルシスはなくなることはない。
アニメ版「君の名は。」
この気持ちを忘れないうちに、もういちど観たい。そして、僕ももがき苦しみ生きよう。