「この本のような写真を撮りたいと思った。マジで」 | そうでもなくない?

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なにが あるか わからない だから あるがまま ありのまま でありたい
※映画レビュー移動しました。
https://filmarks.com/users/shin_juuuuuuuku

これは、自分がプロの写真家として認められたとき、最初に出す写真集のあとがきの最初に載せる言葉。その日がくるとは思えないケド(笑)

以前ブログに書いたけど、2012年の5月から写真を撮りはじめた。
カミさんが買ったEOS Kiss X5。最初はまったく興味がなかった。記録より記憶だと思っていた。ホントはめんどくさかっただけだ。
カミさんは、子どもの成長記録を撮るのに躍起になっていた。勢いで、一眼レフカメラとデジタルハンディカムを買った。
その日、スーパームーンという月が地球に最接近していつもよりでっかく見える、というイベントがあって、何の気なしにベランダから見上げた月がなるほどでかかったので、せっかくだから撮影しようと思い立った。カメラも買ったし。
でも、なにしろ生まれて初めて手にした一眼レフカメラなもんだから、なかなかうまく撮影できなかった。ネットで調べて何度かシャッターを切ると、思いのほかうまく撮影できた(ように感じた)。
それから、カメラにはまった。

被写体は、もっぱら子どもたちである。特に、そこそこ真剣にサッカーしている次男の写真を撮るようになった。そのうち、他の選手も撮り始めた。なぜなら、保護者の皆さまが僕の写真を喜んでくれたから。僕なんかの素人写真で「オレけっこうカッコよくね?」と盛り上がってくれたり、年賀状に使ってくれたのは嬉しかった。

で、どんどん撮影していくとだんだん面白くなってきて、もっとカッコイイJ's Goalやエルゴラッソに掲載されてるような写真を撮りたくなってきた。それに近づけるように、いろいろ工夫するようになった。





まあ、あんまりというか全然たいしたことねえな。久しぶりに見返してみたんだけど、ここで自慢できるような写真がひとつもない。それでいて喜んでもらえてたなんて、おこがましいにもホドがある。赤面の極み。


と、ともかくそれでもだんだんのめり込んでいって、カメラを構えると記録も記憶もどうでもよくて、ただただ無性にカッコイイ写真を撮りたいと思うようになった。

ところが、子どもがジュニアを卒業してジュニアユース(JY)に上がった時、急に撮影熱が覚めてしまった。保護者同士のつながりが希薄になったためだ。獲った写真を喜んでくれる人がいなくなり、なんのために撮影しているのかわからなくなった。ピッチの脇からだんだん遠ざかっていってしまった。



と、ここまで書いてほぼ何の意味もない駄文ということに気がついた。もし、これを読んでいる方がいたとしたら誠に申し訳ない。貴殿の大切な時間を文字通り「無駄」に奪ってしまった。どうもすみません。

このブログでなにが言いたいかっていうと、これです。


ボールピープル/近藤篤

¥1,890
楽天



この本、素晴らしいです。いや、そんなありきたりな言葉では言い表せない。マジで。
著者の近藤篤氏はカメラマン。世界中を旅して、フットボールのある風景を切り取ってきた人です。
その集大成ともいうべき写真集がこれ。これ、ヤバイです。すべてが素敵でロマンチックでドラマちっくでフットボールに満ちあふれています。そして力が、なんだかわからないけどなにかの力が伝わってきます。オーラが伝わってくるのです。写真とは、ファインダーを覗いたカメラマンが切り取ったただの風景のはずなんですが、近藤篤氏の写真からは今まで感じたことのないなにかが感じられるのです。
すげぇな。いやすげぇよ。
サッカーが好きな人は読むべし。写真が好きな人も手に取るべし。サッカーと写真が好きな僕みたいな人間は、この写真集と出会えたことを神に感謝すべきです。
そして、この写真集を紹介してくれたふうとも。さんに感謝です。

この写真集を読んで、僕はまた写真を撮りたいと思いました。図々しいの極みですが、こんな写真を撮りたいと思いました。
近藤氏は被写体が横並びの構図が好きなんだそうです。僕も広角レンズを買うことに決めました。
近藤氏の写真は、どれも色が濃く深いです。PLフィルタを買います。
そして、どうしたらあんな表情や風景を撮れるのか、本人に聞いてみたいです。
そんな機会が来ないかなぁ。

写真集なんですが、エッセイも秀逸なんですよね。世界中の、すぐそこにあるサッカーを切り取って、軽妙な語り口で魂にズドンとくるエピソードばかりなんです。奥さんが消えてしまったAくんの話はツッコまずにはいられないし、ヤスダケンジさんのエピソードなんかもう切なくて「ばかやろう、もう涙でるっちゅうねん」って付箋が、そのページに貼ってありました。

ふうとも。さん、こんど居酒屋でこの本の素晴らしさを存分に語り合いましょう。
ふうとも。さんのカメラテクニックも教えてください。

楽しみだなぁ。




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