
素晴らしかったの一言につきます。
正直、昨年名古屋で体験したワンピース展を想像していたので、現場について「展示はほぼ原画のみ撮影禁止」を知った時にはちょっとがっかりしましたが、すぐに自分の浅はかさに気づかされました。
まず、最初の展示は来訪者バオーだったのですが、もうその原画を観ただけでアドレナリンがプツプツと湧き出し、鳥肌がぞわぞわと立ち上り、興奮のあまり目尻には涙が滲んできました。
すごい。まだ。第一部の開始までたどり着いてないのに(笑)
荒木先生の原画、多くの言葉で語れません。「ディ・モールト!ディ・モールト素晴らしい!」。これだけです。
多くのカラー原画は水彩で描かれており、背景のカラーベタには厚めの色紙が貼られています。このような描き方ということは、少年ジャンプや単行本どころかカラーイラスト本や(JoJo A GoGo!)ですらわからなかったです。
いや、感動しました。
水彩画の透明感、立体感、深み、奥行き(ほぼ同じ事を言ってますw)…これほどのものとは思いもしませんでした。この原画を観れば、荒木先生は漫画家ではない画家なのだと認識が改まります。ルーブルからお声がかかるのも、首がブンブンなるくらい激しくうなずけます。他のお客さんには申し訳ないのですが魅入ってしまいました。
これを毎回観ることができるのは、ご家族と漫画編集者。これは漫画編集者志望の若者が多いわけですね。わかります。
また、ところどころホワイト(修正液)の飛沫があしらわれており、平面的になりがちな水彩(荒木先生のは決してそうではありませんが)に、質感いわゆるシズルを加えております。この比率が絶妙!ため息が出ます。
そして、第六部からは油彩を用いています。これがまたステキ!油彩の持つ立体感と躍動感。それが徐倫のキャラクターにピッタリ合って、これこそ荒木先生のお仕事!って感動しました。いやー素晴らしい。
このあたりで気づいたんですが、荒木先生、どんどん絵がうまくなっていきます。もちろんどの作品も素晴らしいんですが、素人目で見ても線の繊細さや精密さが増してゆくのが分かります。年代を追って観ることで、そこがより鮮明になっています。荒木先生はヘブンズ・ドアーの作画能力とスター・プラチナの精密さを併せ持っていますね。さすが原作者。スタンドはひとり一体の枠を、軽々とぶち破っています。
ところが、第七部で絵柄が若干変わります。そう、言葉を選ばずに言えば大雑把な部分が出てきたのです。ジャイロの長い髪など、よく現れています。これは、舞台設定が原因と思います。第七部は西部劇。荒野を馬で疾走するスティール・ボール・ランが描かれています。レースのドライブ感をより鮮明に表現するために、あえて線をぐうっとまとめた箇所をあちこちに設けているのでしょう。繊細なタッチももちろん健在です。さすが荒木先生。もう、僕はあなたの虜です。いやいや、さらにですよぉ~。
というわけで、荒木先生の原画を堪能して参りました。何度も繰り返しますが、ホント、素晴らしかった。ディ・モールト素晴らしかった。荒木先生の原画を観れば必ず感動する。コーラを飲んだらゲップが出るくらい確実にです。
そして、あらためて感じたのはやはり本物を観るべきだと。以前、ルーブル美術館でモナリザの微笑を鑑賞したことがあります。小さな絵なのですが、その迫力に圧倒されました。絵心なんかない僕でも、本物からは圧力・パワーが伝わってきます、感じられます。ネットワークやデジタル技術が発達している現代、机の前にいても世界中の美術や観光名所を観ることができます。それは、楽しい体験です。でも、そこからは伝わってこないものがあります。本物を観ないとわからないことがあります。なかなか本物に触れる機会はありませんが、チャンスが来たらぜひ積極的に尋ねるべきだと思います。感動とは、リアルがもたらすものなのです。美術館でも、名所でも、コンサート会場でもスタジアムでも、本物に会いに行って欲しいと思います。
チケットは完売のようですが、チャンスがあればまた行きたいと思います。
少し前ですが、ジョジョ展へ行って来ました。
