【消化しきれない傑作】連続殺人鬼カエル男【読了】 | そうでもなくない?

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連続殺人鬼カエル男
¥630
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作者の中山七里氏は、第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞した方。実は、受賞作品は本書ではなく、同時に最終選考に残った「さよならドビュッシー」。本書とどちらを大賞にすべきか、前代未聞の事だったそうです(あとがきより)。


そんな大層な作品とはつゆ知らず、なんとなくコミカルな題名と猟奇的な内容に惹かれ、サッカーの本ばかりでなくたまには小説でも読もうかな、との思いつき大賞の座を射止めました。


読み始めて最初の被害者発見シーンで、購入したことを後悔しました。45歳にもなり生ぬるい日常を過ごすうち、すっかりこの手の描写に耐性がなくなっていたのです。
ああ、やばいばやい、気分が滅入る、どうしよう…しかし、せっかく買った本だし、文体も自分ごのみだったので悪寒に耐えつつ読み進めました。
いつしかグイグイと世界観に引き込まれ、第二の事件も乗り越えてだんだんとワクワクしながら読んでいたのですが、第三の事件および犯人と思しき登場人物の過去が描写されると再びノックダウン。もう、辛くて辛くてたまりませんでした。
しかし、これこそが作者の張り巡らせた罠。僕はあっさりとその奸計に陥り(こんな難しい漢字ばかり使っているのも陥った証拠)、その後怒涛のごとく押し寄せる大事件に翻弄され、最後は幾重にもとぐろを巻く渦潮に飲み込まれ碧暗い底へと沈んでしまいました。


ひとことで表せと言われれば、面白かったと言います。
でも、自分の想像を遥かに超える展開にただただ必死に付いて行くだけで、もう先を読むとか犯人は誰とかそんなこと考える余裕はまったくありませんでした。


もう、お腹いっぱいです。いまだに消化しきれていません(笑)


正直、あいつが犯人かも?と予想はしていました。なんの根拠もなく雰囲気と当てずっぽうでしたが。ほめられたもんじゃない。
いや久しぶりです。作家に完膚なきまでに叩きのめされたのは。自分、想像力には自信があって、おもしろい小説が映像化されても、たいがい満足できないんですね(この手のやつって難しいよね【サマーウォーズ】)。まったく異なるものとして表現された場合は別ですけど。それはそれでおもしろい。ただ、小説を読んだ僕が監督となり脳内で映像化することが楽しみのひとつであり、作家と僕がシンクロする喜びなのですね。
でも、この「連続殺人鬼カエル男」は、僕の遥か上を嘲笑うかのように飛んで行き、己の未熟さに僕はぺしゃんこになりました。そう、まるで轢かれたカエルのようにね(誰うまw)。


ホラーや猟奇的な表現が苦手な方は、どうか本書を手にとらないでいただきたい(中山先生ゴメンナサイ)。どんなに可愛らしいカエルが表紙にいたとしても。そして、純粋にミステリーが好きな方、どうぞ遠慮なく本書をお読みください。気持ち悪いの苦手?単なるB級?育ちがいいですからだと?

クソ食らえです。

そんなもん、全部吹き飛んでしまうパワーと面白さがありますよ、この小説には。
ぜひ、お試しください(o^-')b