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まず、装幀がディ・モールトすばらしい!
銀色にピカピカと光るカバー。パンナコッタ・フーゴとパープルヘイズのイラストがCool!
カバーを外すとパープル!紫一色!本の側面も紫色に染められておりディ・モールトカッコイイ!
これだけでも、お釣りが来るほどの価値あり!の逸品です。
先日購入した「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」にしてもそうですが、装幀はひとつのアートですね。
こういう本に出会うと、電子書籍化の利便性のみを追求してはいけないなあと感じます。
さて、小説の中身ですが…
正直、人気漫画の小説化には功罪があると感じました。
特に、思い入れのある作品は。
【功】
誰もが知りたかった、パンナコッタ・フーゴとパープルヘイズの行方。それを明らかにした本書は、全ジョジョファンの喝采を浴びるでしょう。芝居の半ばにして舞台を降りることとなったパンナコッタ・フーゴとパープルヘイズ。その後、ファンは再登場を待ちわびました。当然のことと信じていました。
ところが、それは甘い幻想でした。どのようなお考えかは深淵すぎて想像することもできませんが、荒木先生は彼らを永遠の闇に葬った。我々は、ジョルノの夢達成に歓喜しながらも、彼らのことを思い少しばかり胸を痛めたのです。
そして、時を経てパンナコッタ・フーゴとパープルヘイズはよみがえりました。
よみがえったばかりではなく、フーゴの贖罪まで描かれたことは賞賛に値するでしょう。フーゴの罪は、己で自分自身に課した罪。それは、自分の力だけでは償うことはできない。
ジョルノは、かつての仲間だったフーゴのために救いの手を差し伸べたのです。
そして彼らは救われた。
この解釈は、作者である上遠野浩平氏のオリジナルでしょうか。着眼点に拍手を贈りたいと思います。
【罪】
あらためて思いました。
本書は、ジョジョの奇妙な冒険ではないと。
当たり前かもしれませんが、本書は上遠野浩平氏の作品です。荒木飛呂彦先生の作品ではありません。ジョジョへのオマージュがふんだんに盛り込まれていますが、登場人物やスタンド、その描き方やバトルシーンに微小な違和感をおぼえました。
上遠野浩平氏のファンであれば、文句なく楽しめると思います。
余談ですが、以前僕はマイクル・クライトンの「ジュラシックパーク」を読み、ぜひスティーブン・スピルバーグ監督に映画化して欲しいと思いました。
奇しくもその夢がかなったわけですが、出来上がった作品は想像するようなものではありませんでした。
はっきり言ってガッカリしました。
もし、僕の脳内の映像を実体化できたとしたら、スピルバーグ作品以上に大ヒットを飛ばしていたことでしょう(笑)
そんな、妄想力豊かな僕ですら、荒木先生の漫画には平伏するのです。
上遠野浩平氏の小説から妄想した映像は、荒木先生のジョジョにはとてもかないません。
それは、本書がジョジョの奇妙な冒険ではないからなのです。
今後、西尾維新氏、舞城王太郎氏がVSJOJO企画として、ジョジョの奇妙な冒険の小説化に挑みます。
楽しみではあります。上質のバトルを期待します。
でも、読み終えたあと、僕はこう叫ぶことでしょう。
荒木飛呂彦先生のジョジョの奇妙な冒険は世界一ィィィィィィィィィィィィィイ!!