珍しく午後3時に散歩した。

近くの海だ。

  

身体を動かして

景色が流れるのを見ると、

頭の中の渋滞が鳴りを潜める。

 

身体を動かす

→動かした分景色が流れる。


この相関関係がいいのだろう。

 

というか、

こういう理屈っぽいことから

離れて、

しっかり汗をかくのが

いいのだろう。



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午後の海岸は

朝のウオーキングの時とは、

違う顔ぶれだった。

 

何よりカラスの様子が違う。

一羽ずつ、思い思いに

たたずんでいるヤツが多い

気がした。

 

ただ、太陽を満喫しているだけ。

そんな風に見えた。


そんな当たり前のことを

当たり前にやりきれる、

その余裕がまぶしかった。

 


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一人気になる人がいた。

身体をゆらゆらさせながら

砂浜に立つおじさんだ。

 

すぐ横に寄り添うように

カラスがいた。

まるで飼い犬のような位置に

ずっといる。


まさか、飼ってるの?

 

近づいて角度を変えて見たら、

両者には3メートル程の距離

があった。


そうか、

たまたまその位置にいただけか。

 

でも、二人の様子を見ていると、

たまたまとも言い難かった。

 

実はおじさんは

体をゆらゆらさせながら、

ずっと歌を歌っていたのだ。


海風に溶け込んで、

私には聞こえていなかった

だけ。


カラスは特等席で

それを楽しんでいたのかも

しれない。

 


なんだか嬉しい気分になりつつも、

私は当初の目的を果たすべく、

水際でしゃがんで海水に

触れることにした。


実は、海水タッチしたら、

すぐ帰るつもりで出かけたのだ。

 

しゃがんだまま、

ふと、あたりを見回してみると、


なんと、

三方をカラスに囲まれていた。

 

それぞれ4メートルくらい先で、

何食わぬ顔でいる。

 

急に私は

おじさんの真似をしたくなった。

 

そのうちの一羽めがけて

「おーーーー」っと

声出ししてみる。

 

数秒後

そのカラスが、

どっかのおっさんの咳払い

のような声で、

途切れがちの奇妙なロングトーン

で鳴いた。


 

通じたかもしれない。

 

もう一度やってみる。

 

やっぱり下手くそな

ロングトーンが返ってきた。


ちょっと嬉しかった

 

 それにしても、

 なぜあんな出しそこないの声だったのか。

私の声に忠実だっただけという、

情けなくも、ちょっと腹の立つ結論にいたった。

さ、さすがやな、カラス。

 

そのあと、カラスの真似をして、

かあ×4回鳴いてみた。

 

やっぱり真似をしてくれた。

 

偶然にしても楽しかった。

 

そのあと2回くらい

相手をしてくれた。

(ありがとう 🐦‍⬛)

 

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帰り際、

ジョギングをしている青年が

満面の笑みを浮かべているのが

目に入った。


カラスたちも、

いつもより近くで

写真を撮らせてくれた。


 

ストイックな感じがする

朝の海にくらべて、

午後3時の海は

なんだかとても楽しいところ

だった。