脳に損傷をおった女性が、
脳科学による最先端医療の取材をするという
ドキュメントを観ました。

彼女の損傷部分は、
視覚情報から言語野につながる部分だったらしく
ある日突然、字を書く能力は戻ったけど、
未だに読むことはできないそうです。

自分で書いた文字を読めないって
なんとも不思議な感覚です。

で、一度脳に刺激を与えながら、
さらにその能力を改善しようと頑張っていたら、
激しいけいれんが起きてしまったそうで、
その時の経験があまりにも怖かったから
それ以来、
自分の脳をありのままに受け入れる
ことにしたんだそうです。

そんな彼女が取材した、ある年配の女性は、
脳にドリルで穴をあけ、電極を埋めて、
不規則に動いてしまう身体から自由になりました。

とはいえ、やってみなければ分からないと
医者が明言していたこの手術。
うまくいかない場合は、何も起きないどころか、
何が起きるか分からないリスクもある
と思うのだけど、

それでもこの女性は
自分の身体の制御ができない人生から、
自分を取り戻したい一心で選択するんだ
と言っていました。

取材者である女性は、
脳をいじることの恐ろしさが身に染みているので、
本当にドキドキしながら見守っていたのが
印象的でした。

別のある男性は、自閉症。
感情が他の人のように働かないことで、
苦しんでいて手術を受けます。

そしたらそのあと聞いた音楽に
涙が止まらなくなった自分にびっくりしたそうです。


モノクロの世界がカラーになったような感動だった
のかもしれません。


だけど、そんな言い回しは、
映画の中だけの綺麗ごとだったようで、、、


結局その後彼は、
激しい負の感情の波にのまれる日常に苦しみ、
結婚も破綻し、
それまでの人生より辛くなった、
としみじみ言っていました。


そのとき彼は
「自分は今まで自閉症に守られて生きてきたんだ」
と感じたそうです。


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脳科学者いわく、
ブラックホールと人間の脳を比べたら、
ブラックホールの方が解明が進んでいる
と言えるそうです。


しかも、1人1人の脳は、みんな違うはずですし、
私の悲しい、は彼の悲しい、と
質もボリュームも絶対に違うということは
分かります。 
というか、どう違うか、は永遠にわからないかも


自分の脳、と付き合うと言ったって、
客観的になるのは至難の業で、
自閉症の彼のように、
術後、術前の比較のできる人だって稀です。


だけど、脳科学の研究者の言葉は
脳を対象物として語る言葉で成り立っているので、
まるで何もかも把握できるかのように
聞こえてしまうけど、


当事者のそれとは、
絶対的に違う言語にすら感じました。


つまり、


どういじれば、どうなる、が
どんどん解明されても、
それが彼、彼女にとってどう、なのかは、
究極のところ分からんのですよね(⌒-⌒; )


脳は自分なのか? 
脳に悩まされている自分が自分なのか?
脳を他者がいじることは、一体誰目線なのか?


脳の話には、そういう奇妙な戸惑いが
付きまとってしまいます。


まあ、脳のことを脳で考えてるんですもの、
当たり前かな。


だから、


自分の感情に振り回されるんじゃなく見つめる
とか、
自分の思考のクセを自分で捉える

みたいな、
自分を客観視するってことは、
そもそも難しいことで、


すぐに出来たりとか、
ましてや他者が簡単に当て推量出来るって
事の方がおかしいと思う今日この頃です。


 桜散ってきましたね〜