知らない星に降り立ったとしよう。


港には、
あちこちの星から来たいろんな星人達が
ふきだまっている。


キョロキョロしたり、
足元を確認したりしているうちに、
いつのまにか出発の鐘が鳴る。


大小様々なたくさんの舟が
これ見よがしに、出航準備中。


大きな舟に大人数で乗ると
みんなと同じ方向に行けて、
なんとなく安心な気がする。


確実な、間違いのない舟に乗りたいから、
賑わう舟にとりあえず乗ってみる。


押し合いへし合い、急な階段の手すりにつかまり、
出来るだけ遠くが見えるマスト近くを目指して
上っていく。



で、居心地悪ければ
別の舟に移ったっていいのだけど、


居心地悪い自分の方を、
その場違いな舟に
なじませようとすることもある。


あるいは、
船長、スタッフの振る舞いや、舟の構造に
不満分子がある程度増えた時に、
自分の居心地悪さに
正しさのお墨付きをもらった気がして、
ようやく乗り換えたりも、ある。


あるいは、舟に乗船拒絶された時に、
自分でも自分を罰したりする人もいれば
一気に翻って、拒絶した舟は間違っていると
大声を出したりすることもある。


一方で、


ごく近くにある例の小さな舟は、
小さ過ぎて、なかなか見えない。


自分サイズぴったり過ぎて、
なんか、寒々しい。


自分を根こそぎ、根っこからジワジワ 
今この不安の瞬間にも、
運んでいっているんだけど、


遠くに視点があると、あまり景色が変わらないから
進んでいない気がする。


無意識にする行動、習慣、口ぐせ、
確かな事どもも、
勝手にネガティヴジャッジして、
ゼロやマイナスにカウントするから。


遠くの遠くのないものねだり。


寂しい寂しいと言うその口が付いている
その身体が、
誰かの温もりになっていても、
その喜怒哀楽が誰かの太陽になっていても、
知らん顔。


あの急な階段を上がるときに
脱ぎ捨ててきたものがあるのかしら。


遠くの遠くの、大きな大きな、
出来るだけ賑わっている舟が、
乗り遅れたかもしれないあの舟が、
いつだって、まぶしいのは、 
どういうわけなんだろうか。