いい加減にトシをとれば、ジブンより若い人たちに気の利いたことのひとつも言えるようになるもんだと思っていたけど。
こんなに生きてきても、な~んにも極めた事もないし自慢できることもないし、なんだかな~ なんてこの頃。
「シマイチ古道具商」 蓮見恭子著
内容(「BOOK」データベースより)
茶碗、豆皿、丸ちゃぶ台。ここは想いが集う場所―生活を立て直すため、大阪・堺市にある夫の実家「島市古道具商」へ引越し、義父・市蔵と同居することになった透子一家。14年間、社会に出ていなかった透子は、慣れない店暮らしに失敗ばかり。それでも道具や集う客の想いに触れて、透子もいつしか人生を見つめ直し始め―。どこか欠けた人たちの瑕も、丸ごと受け入れてくれる場所。古い町家で紡がれる、モノと想いの人情物語。
主人公の透子はワタシの娘と言っていいほどの年齢だけど、まあけっこうなオトナだ。
でもうつ病の夫を支えていかなければと思いながらも、自信がない。
日々、家族や店に来る人びととかかわり合うことで、自分を分析し、成長させていく。自分育ての話って感じ。
若い頃には気づかなかった親の事。今になってみてわかる親の気持ち。立場や年齢が変わると見えてくるものはある。
それは若い透子だけではなく年上の夫、壮一も。
もしかしたら、何もかもを見通しているかに見える舅の市蔵にしてもそうなのかもしれない。
知識や経験だけを積み重ねていくだけでは、簡単にはかり知ることができないヒトの想いは、その時その時で慮っていくしかないんだと。
人間一生が勉強で、一生が成長中なのだなと思わされたこの作品。
体裁はビブリア古書堂並みにライトな感じなんだけど、なかなかどうしてわかりやすく考えさせられるいいハナシだった。
久しぶりに真剣に感想書いちゃった。
ヒトとのつながりを大切にしていくと、そこから見えてくるものがたくさんあり、もちっとましな人間になれるんじゃあないかと、自分にも期待しちゃうワタシなのであった