どんな人? | 三龍建築士

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BOX・ドラマ・映画・・・ときどき読書(笑)の日々に変更~

一人称で書かれた文だと、しゃべり手本人はどんなヒトだか

とってもわかりにくい。


ジブンではどう思うか、どう感じたかはいっぱい

書かれているけど、客観的にはどんなヒトか知りたくなる。


「日の名残り」  カズオ・イシグロ著




内容(「BOOK」データベースより)

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、
短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な
思い出がよぎる。
長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった
亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で
催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、
輝きを増して胸のなかで生き続ける。
失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな
感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。


偉大なる主人に仕え、自らも執事として立派に
勤め上げてきたと自負するスティーブンス。
沈着冷静、動揺することなく難題をかたずけて行く
自分、みたいな語りが続く。でも・・良く読むと、


彼をマンガで描いたらどんなに面白いだろう!?
動物のお医者さんの佐々木倫子なんかが描いたら
すっごくわかりやすい気がする。


ナマイキだけど、お茶目で魅力的な女中頭の
ミス・ケントンに翻弄され、彼女とのココアタイムを
楽しみにし。(←でもレンアイ感情の自覚はない?)


客との会話の為にと、読んでいる本がハーレクインみたいな
恋愛ものだったり。(←ミス・ケントンに指摘されあわてる)


父の死に動揺を見せず、仕事に専念したように言うけど
ジツは、はたから見ると顔色が悪いとか具合が悪そうとか
バレバレだったり。

ね?面白そうでしょ?絵が浮かんでくるぷぷ


ヒトの気持ちがわからないのか、不要と思っているのか。
ここまでの朴念仁ってはたして執事に適しているの?


だとしたら、イギリスって国は悲しいなぁ・・・
様式を大事にしすぎて、大切な事をみんなおきざりに
してしまっているのでは。

そこが、この作品の肝なのかしらん。


本当は、スティーブンスも、ミス・ケントンのスキスキ
光線ドキドキは感じていただろうし、彼女と一緒に仕事をする
のは、楽しい時間だったろうと思うけど。


最終的に求めていたものが違ってしまった二人・・・
誰もが求道者なわけじゃないからね。


彼女の不幸を信じていたスティーブンスの、バス停での
張り裂けるような気持がとっても痛い。

もしマンガ版なんてできるのなら、歳取ってからの二人が
同じ時を生きていけるようなエンディングにしてほしい。


後悔先に立たずなんて、もうこの歳になって今さら
聞きたくもないからね!









カズオ・イシグロ、2作目だけど良いなぁ!全くジャンル的には
違うのに、それぞれ面白い。特に今作はブラックジョークっぽい側面も
あってそこがまた良い。