村上春樹訳のチャンドラー、これで5作目。
あと2作で、チャンドラーの翻訳はオワリらしい。
「高い窓」 レイモンド・チャンドラー著
村上春樹翻訳
内容(「BOOK」データベースより)
私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス
・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探して
ほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な
金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、
エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いに
もどこか裏がありそうな気配だ。
マーロウは、リンダの女友だちや金貨の所在を尋ねて
きた古銭商に当たるところから調査を始める。
が、彼の行く手には脅迫と嘘、そして死体が待ち受けて
いた―『高い窓』の新訳版。
ここまで読んできて思ったのは、チャンドラーって
とってもムラのある書き手なんだなーという事。
始めとっつきが悪いかと思うと、後半スピードが出て
とっても良かったり、登場人物が善きにつけ悪しきに
つけ生き生きとしているかと思えば、人格が確定しない
ちゃんと生きてない人物がいたりとか。
そんな中では「ロンググッドバイ」はすべての良い要素が
そろっていて、ワタシの中では忘れられない作品となった。
今作は、走りだしがとっても良く
「わー、面白くなりそう!」
と、すっごく期待したのだけれど、最後の方、あまりにも
解決編のカタマリになり、退屈極まりなくなってしまった。
マーロウがまったく動かなくなっちゃう(笑)
働けよ!と思っちゃう。
当時のハードボイルドの扱いが雑だったというような
村上氏の解説があり、それも仕方ないのかなーと思う
けど、もったいなかったな~。
だって、ところどころキラメクような描写があり、
ため息が出ちゃう。
つまんないことばっかり言ってる探偵だけど
コイツの思う事が本当に、水底の幻の魚みたいに
キラッと光る時があるんだよ。
村上氏も、お気に入りの作品から訳しはじめ、
ココまで来たら、あと2作でコンプリートなので、
頑張っちゃうらしい。
きっとワタシも付き合っちゃうんだろうな、最後まで(笑)
NHKのロンググッドバイ、リミテッドエディションの出来が良く、